おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

蒸気機嫌で乗り乗り

ようこそのお運び厚く御礼申し上げます。

JRの駅構内のいろんなところに、「鉄道開業150周年」のポスターが貼られています。10月14日の「鉄道記念日」は、明治5年(1872)に新橋~横浜間に日本で最初の鉄道が開通したことを受け、平成六年(1994)に制定されました。

このブログでも、この150周年に便乗し、鉄道関連の史跡・展示などをご紹介していこうと思います。

旧新橋停車場の写真

さて、日本で初めて蒸気機関車が走ったのは、鉄道開業の19年前にあたる嘉永六年(1853)7月のことです。といっても実物大の汽車が走ったわけではなく、軍艦に載せて運ばれてきた模型です。時期的にペリーを想像されたかもしれませんが、長崎を訪れたロシアのプチャーチン一行が長崎に入港した際の話です。半年にわたる開国交渉の間、軍艦上に日本人を招待し、展示された模型を運転して見せました。川路聖謨などもこの時紹介されたうちの一人でした。

翌年の嘉永七年(1854)、横浜においても横浜模型の蒸気機関車が走りました。こちらはペリー2回目の日本訪問に際して、フィルモア大統領から将軍への献上品として持参したものでした。模型とはいっても、機関士が乗って運転したといいますから、ロシアの模型に比べると、ずいぶん大きく本格的なものだったようです。

ペリーの日本遠征記によると、

客車は小さく、6歳の子供をやっと乗せて動かすことができるくらいのものでした。けれども日本人は、それに乗らないと承知ができず、そして車の中に入ることができないので、屋根の上に乗った。

この時、アメリカ人に交渉し、客車にまたがって乗ったのが、河田八之助という幕臣で、後に日米和親条約の草案を作成したうちの一人です。河田はその時の感想を次のように遺しています。

火発して機活き、筒、煙を噴き、輪、皆転じ、迅速飛ぶが如く、旋転数匝極めて快し

意訳すると、(蒸気機関車は)火を吹くと機械が動き出し、筒からは煙を噴き出すと、車輪すべてが動き出し、飛ぶような速さで、(線路を)周回したが、とても気持ちのいいものであった、というようなことでしょうか。

最初に蒸気機関車を運転したの日本人は、江川英龍

また、江川英龍もこの場に同席しており、自らの手で運転したいと申し出て、運転を成功させた記録も残されています。

鉄道開業以前の話で終始してしまいましたが、次回以降、鉄道開業についてご紹介します。