おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

大事の前の城址

ようこそのお運び厚く御礼申し上げます。

新刊が出るのを楽しみにしている漫画のひとつに、「東京城址高生」(ハルタコミックス)があります。主人公の女子高生が、城址散策好きの同級生と知り合って、城址散策の仲間を増やしていく過程で、東京他の城址や城が紹介されます。新刊の第四巻がやっと出た!と喜んでいたら、完結してしまいました(泣)。同じく東京を女子高生が散歩する「ぐるぐるてくてく」(LINEコミックス)も昨年秋に完結してしまい、残念な限り。

東京には100以上のお城の跡(城址)があっるのですが、代表的な城といえば、なんといっても江戸城

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江戸城石垣 紅葉が美しい

築城者は、「こんばんは、徳川家康です」が、その140年前に旧江戸城を築いたのが太田道灌。15世紀の関東管領上杉氏のうち、扇谷上杉氏の家宰(江戸時代でいうと「家老」にあたるかと)を努めていました。落語「道灌」でも知られたエピソードが「山吹伝説」。鷹狩に出かけた道灌はにわか雨に遭い、あばら家に駆け込んで蓑(雨具、合羽のように衣服の上からまとって使用します)を貸してくれと頼みます。

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「山吹伝説」のシーン(新宿中央公園

そこへ出てきた少女は「お恥ずかしゅうございます」と盆にのせて一輪の山吹差し出します。道灌は意味が分からず怒って帰りますが、館に戻って近臣にその話をしたところ、少女が『七重八重 花は咲けども山吹の 実のひとつだに なきぞかなしき』という古歌になぞらえて、「貧しさゆえに、蓑がございません、悲しゅうございます」と伝えたかった、ということを知りました。「我はまだ歌道に暗い」と自らの不明を恥じ、一層歌道に励み、後に立派な歌人になった、というお話です。

「東京城址高生」でもこのエピソードは紹介されますが、落語「道灌」はその話を教わった男が、同じようにこのエピソードを使おうとして、うろ覚えで失敗する話です。

この項、東京の代表的な城址を紹介していきます。