東京で「豊島(としま)」という地名で思い浮かぶのが、まず豊島区。山手線の駅でいうと、東端が駒込駅から、池袋・目白駅までのエリアに加え、千川駅(有楽町線)や東長崎駅(西武池袋線)まで東西に長い区域です。もう一つ思い浮かぶのは、昨年8月末に閉演した遊園地「としまえん」でしょうか。しかし、「としまえん」があるのは練馬区の向山。豊島区よりさらに西側です。
「豊島」の名前は、このあたりを支配していた豪族の豊島氏に由来するのですが、豊島氏発祥の地域はこの辺りではありません。北区の王子駅の北方に、まさに「豊島」の地名があり、上中里駅(京浜東北線)の駅すぐそばにある「平塚神社」が平安時代末期の豊島氏の館跡(平塚城)といわれています。
案内板にある通り、豊島氏は関東に土着した平氏のうち、今の埼玉県秩父市に勢力を張った秩父氏から分かれました。秩父氏から分かれた士族には、他に畠山氏(埼玉県深谷市)、河越氏(埼玉県川越)、江戸氏などがありました。