おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

善え樹を養う~横綱の松~4

一人(一木?)横綱の窮地を救おうと、地元の人々が立ち上がります。2001年の調査で、近くにあった池の埋め立てによって水はけが悪くなり、それがもとで松の根が酸欠状態になっていたことが、樹を衰えさせていたことがわかりました。原因がわかれば、その原因を取り除くのですが、埋め立てた池を戻すわけにはいきません。

そこで取った方法が、

・根を傷つけないように配慮した上で地表から約60センチメートルの深さまで土を入れ替える

・水はけを良くするための地下水路を設置

というものでした。つまり、影向の松の地下には水が流れている、ということですね。

この工事を10年がかりで行い、2011年7月にすべての工事が完了、2ヶ月後に国の天然記念物にも指定されたのです。

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境内の横綱山から見る「影向の松」

これにより、息を吹き返した松は、今でも堂々とした姿を見せてくれます。

ところで、善養寺は山号を星住山地蔵院といいます。「星住山」という山号のいわれは、その昔、星の精霊が境内にあった松の樹に降り立ったことに由来します。「星降り松」(ほしくだりマツ)という名のマツ「影向の松」を指しているのかというと、そうではありません。「星降り松」は、「影向の松」のような横に枝を伸ばすのとは対照的に、縦に伸び、高さ50Mを越える松でした。好一対の「亀と鶴」に例えられ、縁起の良い松として知られていたようです。残念ながら、「星降り松」の方は昭和15年(1940)に枯死してしまい、現在は二代目が植えられています。

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江戸川方面から見た「星降り松」(二代目)

善養寺にはこれ以外にも、大相撲に関わるお話があるのですが、これについては次回で。