おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

他抜きつ抜かれつ2

「そんなばかな」和尚さんは茶釜に眼を向けると、茶釜は居眠りの前と同じ場所に置かれています。「ちゃんと元のところにあるではないか」「おかしいなぁ、確かに足を出して動いていたのですが・・」「いい加減なことを言うでない、せっかく気持ちよく寝ていたのに・・あっちへ行きなさい」「おかしいなぁ」小僧さんは首をかしげながら戻っていきました。

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茂林寺の総門

そののち、和尚さんが一人でお茶をたてようと、茶釜に水を入れ囲炉裏の火にかけると、「あちちち」と手足を出して逃げようとします。驚いた和尚さんはこの怪しい茶釜を古道具屋に返してしまいます。茶釜は古道具屋に、自分が狸だと白状しお役に立ちますからおいてください、と懇願し、古道具屋は見世物小屋を建ててぶんぶく茶釜の芸を披露し、大もうけした道具屋は、儲けの半分を寺に納め、茶釜もお寺に寄進し、寺宝となった、というあらすじです。

茂林寺の門をくぐると、21体の狸の像が参道の両側で出迎えてくれます。

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参道のわきに狸の像が 先に山門が見えます

更に先にある山門は元禄7年(1694)に建立され、更に奥の本堂は応仁2年(1468)に建立、享保12年(1727)に改築されたもので、いずれも茅葺きの風情ある建物です。

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茂林寺本堂

先ほどご紹介した分福茶釜のお話は、明治時代に児童文学者の巌谷小波(いわや さざなみ)によって広く日本中に知られるようになりましたが、茂林寺には違った形の説話が伝わっています。

そちらについてはまた次回に