おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

他抜きつ抜かれつ4

守鶴が持ってきた茶釜で来客者に茶をふるまったところ、不思議なことにいくら茶釜からお湯を汲んでも、尽きることがありません。守鶴は、自らこの茶釜を、福を分け与える「紫金銅分福茶釜」と名付けます。この茶釜の湯で喉を潤す者は、開運出世・寿命長久等、八つの功徳に授かるといい、僧侶の集まりがあるとこの茶釜を使い茶を振舞いました。

あるときに守鶴が昼寝をしている様子を、他の僧侶が覗いたところ、なんと手足に毛が生え、尾が付いた貉(ムジナ=アナグマを指すこともありますが、狸をこう呼ぶこともあるようです)の姿をしていました。守鶴の正体は狸(ここでは現在に合わせて狸に統一します)、しかもそれも数千年を生きた狸で、インドで釈迦から説法を受け、中国を経て日本に渡ってきたのでした。不思議な茶釜も、この狸の術によるものでした。

しかし、正体を見られてしまった守鶴は、茂林寺にはいられないと寺を去ることを決意します。最後の別れの日、守鶴はまた術を使い、源平屋島の合戦と釈迦の説法の二場面を再現して見せたといいます。

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茂林寺 本堂手前左側の「守鶴堂」  多くの狸の像に囲まれています

大林正通禅師と共に館林に移り住んで160年余りが経った、天正15年(1587年)のことでした。

茂林寺では守鶴を鎮守として崇敬し、境内に守鶴堂を建てて祀り、今に至っています。

実はこの「紫金銅分福茶釜」、茂林寺の寺宝として今に伝わっていて、拝観できるのですが、私が行った日は運悪く不定休(木曜?)に当たってしまい拝観かないませんでした・・

茂林寺の話は以上ですが、狸と寺社の話はまだ続きます。