おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

トゲと薔薇の日々4

太平洋戦争で海軍衛生兵として出征していた間、奥さんが留守を守り抜きます。食料不足が進む中、すべての土地は農地として転用し、農作物を国に供出するよう求められます。そんな中、奥さんは近所の農家から野菜を買って供出するなどして、「とどろきばらえん」を守り抜きます。

戦争が終わり、戦地から帰還した省三さん、仲間に呼びかけ、昭和23年に銀座の資生堂ギャラリーで「第1回バラ展示会」を開催しました。まだ戦争の傷も癒えず、皆が飢えていた時期の展示会でしたが、大きな反響を呼びました。

戦後の復興が一段落すると、人々の心にも花をめでる余裕が生まれてきます。「とどろきばらえん」の常連客のうちの一人が時の首相、鳩山一郎でした。

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音羽 鳩山会館

音羽にある鳩山会館のバラ園の設計には、鈴木省三さんもかかわっています。育種品種の中に「友愛」というバラがありますが、もちろん鳩山一郎のスローガンを名に冠したものでしょう。(残念ながら写真がありません)

鳩山会館のバラ園は小規模ですが、洋館のたたずまい(各所のステンドガラスがすごい)も相まってとてもいい雰囲気ですし、昭和の歴史を彩る舞台はなかなか見どころがあります。また、晩秋は薔薇は終わりかけますが、紅葉も見事です。

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鳩山会館庭園のバラと紅葉(2017年晩秋の写真です)

「とどろきばらえん」で薔薇の育成にとりくむ傍ら、京成電鉄の依頼で、谷津遊園内のバラ園の造園を行います。昭和34年(1959)に創業された「京成バラ園芸」の研究所長となり、ここから多くの品種を世に出していきます。

薔薇の話、続きます。