おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

トゲと薔薇の日々7

鈴木省三さんが生まれたのが大正2年(1913)。前回ご紹介した「晴世」が発表されたのは平成2年(1990)年のことです。最初に薔薇を育ててきた「とどろきばらえん」は昭和49年(1974)に閉園(京成バラ園芸に吸収合併)し、それから先は京成バラ園芸名義で新品種の発表を行っています。「とどろきばらえん」の閉園は、周辺の地域が急速に住宅地化したことが影響しているようです。

「晴世」とは「とどろきばらえん」の頃から一緒にバラ園を守ってきた奥様の名前。

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谷津バラ園 「晴世」の案内板

そして発表された年は、お二人の金婚式にあたる年でした。省三さんが最初に覚えた英語、「Say it With Flowers」(花で心を伝える)を晩年にして奥様に伝えたかと思うと、このご夫婦を巡るドラマは朝ドラ並みに興味深いものがあります。

研修所の所長を退き、顧問となった省三さんは、平成12年(2000)年にこの世を去りますが、京成バラ園芸は毎年新たな品種を発表し、遺志をしっかりと受け継いでいます。

「ミスターローズ」は省三さんの生誕100年を記念し、京成バラ園が発表した品種です。(花の色など、「晴世」と似ているような気が・・)

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谷津バラ園の「ミスターローズ」

京成バラ園のある八千代市の市の花は、当然の如く薔薇ですが、同じ県内の市川市も市の花は「薔薇」。

戦後間もない頃、国府台にある式場病院の初代院長式場隆三郎氏が中心となって院内にバラ園を作ったのが始まりだそうです。市内にある里見公園は、春の桜だけでなく、バラの名所としても知られます。

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里見公園 バラ園って必ず噴水がありますね 2021/10/24撮影

里見公園のバラには、省三さんの死後、京成バラ園で育種された品種がいくつか栽培されています。

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白色輝く「真珠貝

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うらら

そして、こんな名前のバラも・・

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プリンセスアイコ

薔薇の花の美しさだけでなく、名前に込められた作者の想いや歴史などを想像すると、これまで以上に花の美しさが心にしみるかもしれません。

薔薇の話以上です。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。