平成十八年（2006）三月に新タワー建設地が決定すると、その年の十一月にはデザインが公表されました。着工は平成二十年（2008）七月のことでした。その約一か月前の六月十日、新タワーの正式名称が決定しています。
名称については、前年十月～十一月に名称案を公募し、翌年三月には案の中から「東京EDOタワー」「東京スカイツリー」「みらいタワー」「ゆめみやぐら」「ライジングイーストタワー」「ライジングタワー」の六つに絞られていました。
この中から四月～五月の二か月間、Web・はがき・携帯電話による全国投票が行われます。その結果、二位の「東京EDOタワー」（31,185票）に1,514票の差をつけた「東京スカイツリー」（32,699票）が正式名称に決定したのです。
地盤の基礎工事が完了したのが平成二十年（2008）年末十二月六日、その二十日後からは地上に鉄骨が伸び始めます。翌年十月には「東京スカイツリー」の高さが634Mとなることが発表されました。
世界一の自立式電波塔の高さ（601M）に到達したのは、平成二十三年（2011）三月一日のことでした。
三月十一日、最上部のアンテナを支えるための「ゲイン塔」と呼ばれる部分を619Mの高さから625Mまでリフトアップする作業を行っていました。建設工程の中でも最も不安定な作業といっていいでしょう。その日午後、建設現場に設置された「気象地震監視警報システム」が緊急地震速報を受信し、現場内に音声と光で警報を発しました。
現場の作業員・職員は直ちに作業を停止、安全確保に努めたところ、警報の一分後、宮城県沖の海底を震源とするマグニチュード9.0の大規模な地震が発生します。
世にいう「東北大震災」では東京でも震度5強の揺れが観測され、東京タワーのアンテナの先端が折れ曲がったという報道も記憶にあるところです。スカイツリー建設現場でも、「ゲイン塔」の頂部では4～6Mもの振幅が記録されました。
