おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

春は梅見ごこち

ようこそのお運び、厚く御礼申し上げます。春の花といって思い浮かべるのは、どうしても「桜」となりがちですが、比較的盛りが短い桜に比べ、その一、二か月以上前から春の訪れを長く楽しませてくれるのが梅の花です。

ちなみに、万葉集の歌のうち、「桜」を詠んだ歌が42首であるのに対し、「梅」は120首と、この時代においては梅の方がもてはやされていたようです。ちなみに花の中で二番多いのが「梅」、一番多い(141首)のは「萩」だそうです。(数については若干の差異があります)

また、年号「令和」の語源が、万葉集の第五巻にある「梅花の歌」の

初春の令月にして、気淑(よ)く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披(ひら)き、蘭は珮後(はいぎ)の香を薫す

 新春の令き(よき)月、空気は清らかに風はやわらかに、梅の花は鏡の前のおしろいのように白く咲き、蘭の花は装った人ように香っている

というのは、新しい元号が決まった際、さんざん紹介されたところですが、ここで詠まれた梅の花は「おしろい」の比喩から、白梅であるとわかります。

f:id:tadakaka-munoh:20220217221847j:plain

万葉集に詠まれた梅の花は白梅でした 三渓園の梅(2020/2)

梅の原産地は中国で、日本に渡ってきたのは弥生時代とも、遣唐使が持ち帰ったともいわれます。(元々日本にも自生していたという説もありますが)

冒頭に、「梅」の花の歌の数が「萩」に次いで二位と紹介しましたが、殆どが貴族・上流階級に属する歌人の作であるのに対し、「萩」は詠み人知らずの比率も高くなっています。そういう意味では、奈良時代においては一般庶民が普段から目にする花ではなかったのかもしれません。

次回はこの梅の品種や平安以降の時代~菅原道真天満宮などについて述べていきたいと思います。