おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

花の命は身近くて3

野田市にある清水公園には、約50種類2000本の桜が植栽され、日本桜名所100選にも選ばれています。今回この稿を書くにあたって、公園のHPなどを調べていて初めて知ったのは、この公園が株式会社千秋社(せんしゅうしゃ)という民間企業によって管理・運営がなされているということ。てっきり野田市が管理・運営を行っているものと思い込んでいました。

f:id:tadakaka-munoh:20220403212238j:plain

清水公園の桜 赤いのは紅梅です

さらに調べると、明治二十七年(1894)に野田醤油(現在のキッコーマンにあたります)の初代社長の父である茂木柏衛が、室町時代創建の金乗院(こんじょういん)の境内を借り受けて公園として整備、一般に開放したのが始まりです。所在地が当時清水村であったことから「清水公園」の名前となりました。ちなみに「千秋社」はキッコーマンの主要株主で、同社の会計業務なども営んでいます。

f:id:tadakaka-munoh:20220403213101j:plain

公園の中にお寺があるのだと思っていたら、境内が公園なのでした・・

公園内の桜でなく、金乗院の現在の境内(仁王門より先のエリア、という意味です)に今回ご紹介する桜があります。

本堂の南東(向かって右手前)に「劫初の桜(ごうしょのさくら)」が花をつけていました。他の桜と異なり、樹は柵で囲われています。

f:id:tadakaka-munoh:20220403215026j:plain

劫初の桜

「劫初」とは、聞きなれない言葉ですが、この世の初めのことを指します。この桜が、小石川植物園弘前公園、福島開成山公園の桜と並び、最古級のソメイヨシノとされています。

f:id:tadakaka-munoh:20220403215737j:plain

劫初の桜の案内板

説明文には「約百年の老木」とありますが、書かれた時期は「平成元年四月」ですので、現在の樹齢は百三十年以上ということになります。文頭に書かれた明治初年が何年なのか明記がありませんが、明治八年より前であれば、記録上は小石川植物園の樹より古く、現存するソメイヨシノの中では最古の桜です。

「近年、うろのなかから若い幹根が生じ」とあるように、この樹も空洞(うろ)が出来、いったん衰えた樹勢がまた蘇ったということのようです。この先も末永く今の姿を見せ続けてほしいものです。

次回はソメイヨシノからは離れ、桜の古木をご紹介していきます。