おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

花の命は身近くて4

桜の中でも寿命の短い部類のソメイヨシノですが、一方、野生種の桜には数百年どころか樹齢一千年を越える樹があるようです。それも一本桜とが多いのは、周りが淘汰されていく中で元気なものだけが生き残ったからなのでしょう。

長寿桜のランキングを拝見したことがありますが、最長寿は山梨県北杜市の「山高神代桜」で、その樹齢はなんと2000年でした。

「山高神代桜」と同じく日本三大桜の「根尾谷薄墨桜」(岐阜県本巣市)は樹齢1500年以上、「三春滝桜」(福島県三春町)は1000年。長寿の桜のベスト20のうち、12本が「エドヒガン」でした。

ここでは今年の春に見に行った、関東圏の比較的長寿の桜を二つ紹介したいと思います。一本は茨城県龍ケ崎市の般若院境内の枝垂れ桜です。

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龍ヶ崎の枝垂れ桜 案内板

現在、茨城県の天然記念物に指定され、樹齢は500年と推定されています。やはりこの桜もエドヒガンの園芸品種ということです。高さは10Mを越え、目通り幹囲は約5M、枝張り東西約15M、南北約22Mの大きさを誇っています。

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龍ヶ崎の枝垂桜 

桜のある般若院は、天元元年(978)に開創されたそうですが、大永4年(1525)に現在の場所に移ったといいますから、移転の当時はまだ幼木だったのでしょう。

エドヒガンは、春の彼岸(春分の日あたり)に花を咲かせることから、「ヒガンザクラ」とも呼ばれていますが、別に、「姥桜」(うばざくら)とも呼ばれます。「姥」とは年を取った女性、つまりはお婆さん、ということですが、葉が茂る前に花を咲かせることから、「葉がない」=「歯がない」をかけてこの別名があるようです。

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同じ桜を別の角度から撮影

花が先、という点はソメイヨシノと共通する特徴ですが、異なっているのが樹が育って花が咲くまでに時間がかかること。樹高約10Mを超えるあたりからやっと初めて花をつけ、樹によっては花が咲くまで数十年かかるものもあるようです。

長い間を懸けて成長し、花を開かせるエドヒガンには、「大器晩成」の言葉がぴったりです。次回はもう少し東京に近い桜の古木をご紹介します。