おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

番外編 棚から牡丹餅、葉から桜餅

首都圏では桜も盛りを過ぎて、テーマとして取り上げるのもズレが出てしまう感もありますが、最後に桜の品種としてオオシマザクラを取り上げたいと思います。
オオシマザクラも野生種の一つで、エドヒガンとかけ合わせた園芸品種がソメイヨシノであることはよく知られています。オオシマザクラの「オオシマ」は、伊豆大島などの島嶼部から、伊豆半島や三浦半島、房総半島の沿岸に成育しています。

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オオシマザクラ(大島桜)小石川植物園

花の色や形などもソメイヨシノに似ていて、花弁は5枚で、先が2つに分かれています。いわゆる桜の花のスタンプの形ですね。

白い大輪の花(桜としては)を咲かせ、東国に自生することから、「旗桜」「白旗桜」の名前もあります。白旗、とは花の美しさに降参、というわけではなく、関東地方が地盤であった源氏の旗印であった白旗(平家が紅旗)にちなんだものです。
ソメイヨシノのもう一方のエドヒガンはというと、自生地は東北地方などの比較的寒冷な地に自生していました。花が散った後に葉が生えてくる、という特長があります。

この二つの親を持つ、すなわち交雑種であるソメイヨシノは、樹の成長が早く花が大きく、更には花の方が葉より先に出現する、といういいとこ取りのような品種でした。

明治政府がソメイヨシノを積極的に各地の学校や公園に植樹したことで、爆発的に日本全国に広がり、現在に至っています。

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皇居庭園のオオシマザクラ

話がソメイヨシノの方に逸れてしまいましたが、オオシマザクラの特長にはもう一つあります。「花と葉に強い芳香を持つ」ということです。葉を塩漬けにすると香りがより強くなり、この塩漬けの葉が桜餅に使われることから、もう一つの別名「餅桜」とも呼ばれます。

桜餅の由来を調べてみたところ、隅田川東岸の向島にある老舗「長命寺桜もち」のHPに紹介されていました。

創業者山本新六が享保二年(1717年)に土手の桜の葉を樽の中に塩漬けにして試みに桜もちというものを考案し長命寺の門前にて売り始めたものだとのこと。

餅への香りづけ、餅の表面の乾燥を防ぐ、防腐剤として、などの役割があるようです。

花より団子ならぬ桜餅。葉を食べるかどうかはおいて、オオシマザクラを想像しながら味わってみてはいかがでしょうか。

桜の話、昨年に続き長々とお付き合いいただきありがとうございました。