おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

立てば餅焼く 座れば牡丹餅

前回の題名で「ぼたもち」は「牡丹餅」と書くのを再認識しました。学生のころ、石炭をより分けて出てきた粗悪なくず石炭を「ぼた」と呼び、その石炭に形状が似ていることから「ぼたもち」の語源、という説を聞きました。九州などにそれを積み上げたボタ山と呼ばれる小山を本やテレビで知っていましたから、それが頭に残っていて「牡丹」とは結び付かず、漢字変換された時、ん?と違和感がありました。

牡丹は四月後半ごろから大型の花を付けますが、中国においては唐時代以降、牡丹が「花の王」としてもてはやされました。唐代の詩人李白楊貴妃のことを牡丹に例えたことからもそのことがうかがえます。

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「花の王」牡丹(品種名:ハイヌーン) 上野東照宮牡丹園

花王」以外の別名として「富貴花」「百花王」なども知られています。

花王」というと「花王石鹸」を思い浮かべますが、昭和四十五年(1970)に刊行された「花王石鹸八十年史」によると、社名の由来はちょっと違っています。

花王の創業は明治二十年(1887)、当時は「長瀬商会」という名前でしたが、二十三年(1890)に「花王石鹸」を発売しました。当時はまだ国産の石鹸で顔を洗うと、肌が荒れる、という粗悪な石鹸が多い中、高級な品質で顔を洗える化粧石鹸、「かお(顔)石鹸」に「花王」の文字を当てたのが社名となりました。「花王」の文字が決まる前は、「香王」「華王」などの候補もあったようです。創業者は、「日本では桜をもって花の王とするけれども、花王石鹸は支那を始め、東洋全般に売りひろむべき東洋第一の石鹼にしよう」ということから、効能書きに牡丹の花をあしらった、とのこと。顔から花王をもじったところは、噓のような本当の話です。(花王のHP「花王グループの歴史」にも載っています)

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上野東照宮牡丹園 品種:胡蝶の舞

すっかり話がそれてしまいましたが、次回は牡丹餅についてもう少し触れながら、牡丹の名所などをご紹介していきたいと思います。