おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

立てば餅焼く 座れば牡丹餅7

西新井大師の山門は江戸後期の建築だそうですが、本堂は昭和四十一年(1966)の火災で焼失、昭和四十六年(1971)に再建されました。ご本尊の十一面観音は火難を逃れ、弘法大師と一緒に本堂に祀られています。
「花の寺」を称するだけに、この時期には本堂にも牡丹の鉢植えなどが並べられていますが、目を惹くのが立派な藤の鉢植え。藤は境内でも楽しめますが、人の目線より低い場所で咲き誇る鉢植えには別の魅力があります。

本堂に置かれた牡丹の鉢植え

同じく藤の鉢植え といっても肩くらいの高さのものです

境内にはちょっと珍しい建築物があります。三重塔のように見えますが、「三匝堂」(さんそうどう)と呼ばれる建物です。

三重塔のように見えますが・・・

別名を栄螺堂(さざえどう)といい、もっとも有名なのは会津飯森山の会津栄螺堂と呼ばれる建物(スマホに写真がなくて掲載できません><)です。内部が螺旋階段の回廊になっており、堂内に祀られた観音霊場などをを巡ることが出来る構造です。

西新井大師のものは、明治十七年(1894)に再建されたもので、一匝り(めぐり)目は八十八体大師像、二匝り目に十三佛、三匝り目に五智如来と二十五菩薩をお祀りしているそうです。昔は堂内を巡ることができたそうですが、残念ながら現在は内部に入ることはできません。都内に残る唯一の三匝堂と書かれた紹介文もありますが、実際には巣鴨に現代の建築例があります。(関東地方の三匝堂については、いつかまとめて紹介できればと思っています。)いずれにしても、現在まで残る三匝堂の類例は少なく、珍しいものです。

境内には池を巡る形式の庭園が2つあり、鐘楼のそばのものは、藤と桜(里桜でしょうか)の双方が楽しめました。

藤と桜と池

牡丹と藤はあと二週間くらい楽しめると思いますが、お寺のHPによると、それ以降も菖蒲・芍薬・紫陽花・蓮などの四季それぞれの花が楽しめるとのこと。

浅草寺や川崎大師ほどの混雑なく、大きなお寺の境内でゆるゆる拝観したい方にはお勧めです。門前では名物の草団子も楽しめます。

西新井大師総持寺についてのご紹介は以上です。次回は「東長谷寺」ともいわれる、下落合の「薬王院」をご紹介します。