おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

風呂ネギの端午3

五色の吹き流しが、元々の幟(のぼり)が原型なのですが、五色には「空・風・火・水・地」という中国の五行の意味があります。また幟は神様や地域に対して、跡取りとなる息子が生まれたことを告げる意味もありました。

鯉のぼり 山形県 紅花資料館

武家においては吹き流しを飾っていたものが、江戸時代になり町人文化が発達していく中で鯉を象どるようになります。中国の黄河上流には竜門と呼ばれる激流の難所があり、そこを登り切った魚は竜になれるという「登竜門伝説」から、子供が世間の困難を乗り切って大成する願いを込めたものです。

また、墨田区に伝わる伝説として、次のような話が残っています。

武士の家が端午の節句に幟を飾って祝っているのを見た染物屋の子が親に同じものを飾ってほしいとねだります。親は身分の違いもあり、「あれは、お侍さんが立てるものだからできないのだよ」と子供をたしなめますが、子供は聴き入れません。

そこへ、一人の武士が入って来て、四枚の紙に二匹の鯉の絵を描き、これを節句までに黒と赤に染めて欲しい、と言って染物屋を出ていきました。染めた鯉を天日で干していたところ、武士がやってきます。針と糸を借りた武士は、一匹ずつ鯉を縫い合わせ、長いさおの先につけて、家の前に立てさせました。これが鯉のぼりの始まりで、その武士の名は赤荻柳和といい、武士というよりは俳句を作ることで知られた、心のやさしい人だった、と伝えられています。

鯉のぼりの由来については以上ですが、次回は菖蒲湯ほか、端午の節句の他の風習に触れていきたいと思います。