おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

根ほりハスほり2

縄文時代の遺跡、しかも湿地の泥の中から、ほんの小さなハスの種を見つけ出そうという試みです。博士に許可された調査期間は3月3日から月末31日までにすぎませんでした。雨が降ると水が溜まるのをポンプで排水するような環境の中で、集まった人たちが掘り出した土(泥)をふるいにかけて種を探し、また土をかき分ける、という気の遠くなるような作業を続けます。

大賀ハスの妖精「ちはなちゃん」

それでも種は見つかりません。期限も終わりに近づき、作業する人たちにもあきらめの色が出ていた3月30日の夕刻、一人の女子中学生が、「こんなものが見つかりました」と声を上げます。

差し出された粒を見ると、まさにハスの種だったのです。発見されたのは地下6mの泥炭層でした。これにより翌日までだった調査期限が2週間延長され、4月6日にはさらに2粒の種を発見、合計3粒の種が発掘されたのでした。

博士は翌月5月の上旬から、この3粒の種の発芽育成を府中市にあった自宅で始めました。

大賀ハスの花(古河総合公園)

 その結果、2粒は失敗に終わりましたが、残りの1粒は枯れずに育っていきます。その1粒は3月30日に女子中学生が発見した種でした。一年後、昭和二十七年(1952)7月18日、ついにピンク色の大輪の花が咲きました。

古代から甦ったハスの話、続きます。