おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

根掘りハスほり3

遺跡からのハスの種の発見から発芽・生育まで、とてもドラマティックな話です。このニュースは国内外に報道され、その年の秋には米国のグラフ雑誌「LIFE」に「「The Oldest Flower」という記事が紹介されました。その際、博士の名前をとって「大賀ハス」(Oga Lotus)と紹介されています。

大賀ハスの花(古河総合公園)

この偉業に対して誹謗中傷する人もあったため、博士は年代を明確にすることにします。種が見つかった付近から出土した丸木船の破片をシカゴ大学原子核研究所へ送り、放射性同位元素C14の半減期からその年代を換算する調査を依頼しました。調査の結果、ハスの実は2000年以上前の弥生時代のものと正式に推定されました。

普通の植物の種子は2000年も経ってから発芽するようなことはないようです。-1°C・湿度30%の環境下で保存するときゅうりの種で約127年、メロンが約60年の寿命なのだそうです。これらは一番長い部類で、他の農作物で20年前後だといいます。

ハスの種の寿命がそれらに比べて格段に長いのは、ハスの実(果実)の皮がとても厚いことによります。このハスの種も、土の中で長期間発芽能力を保持しながら眠っていたわけですね。

このひと粒のハスの種から育成された大賀ハスは、根分けによって日本国内だけでなく世界各地に根分けされ友好親善を深めています。

こちらも古河総合公園

仏教とゆかりの深いハスの花ですが、大賀博士はクリスチャンでした。博士が遺した言葉に「蓮は平和の象徴なり」というものがあり、和歌山県の大賀池にはその石碑も立てられているそうです。

大賀ハス以外にも古代ハスと呼ばれているハスの名所がありますが、次回からそちらをご紹介していきます。