おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

虎は死して皮を残す (英)龍は死して永遠(とわ)に残る3

現在の韮山反射炉は、外壁に巡らされた✖が印象的ですが、これは昭和三十二年(1957)に補修された際に鉄骨トラスを設置して耐震用の補強を行ったためで、当初は煉瓦を積み上げた表面に漆喰が塗られていたようです。ちょっと想像がつかないかも知れませんが、茨城県那珂湊に復元された、水戸藩反射炉を見るとイメージできるかと思います。

茨城県那珂湊反射炉(復元)ほぼ同じ時期に建設されました

もっとも、那珂湊反射炉水戸藩内の内紛で殆ど稼働できず、藩内の内戦「天狗党の乱」により破壊されてしまっています。外観で共通するのは上に高く伸びた煙突ですが、これは煙突にを高くすることにより自然通風を強力にし、燃焼のための空気の取入れをスムーズにする意味があります。

反射炉の構造図

鉄を溶かす「炉」として重要なのは火を燃やす部分と、鉄を溶かす部分です。

右の穴が燃料の燃料を投入する穴(焚口) 左が銑鉄を投入する穴(鋳口)です

燃料については、木炭・石炭が使われ、「焚口」という穴から燃焼室内に投入し、火力を維持します。「鋳口」から鉄や銅など炉内で溶かす金属の塊を投入します。炉内の天井はドーム状になっていて、熱を反射させることで1200~1500度の高温を発生させ、鉄を溶かし不純物を取り除きます。

溶けた鉄は置かれた鋳型に流れていきます(鋳台)

流れ出た鉄は穴から流れ出て、大砲の鋳型に流れ込みます。それを冷却することにより、穴の開いていない大砲の外形が出来ることになるのですが、鋳型を冷やしたり、穴をあけたり(穿孔)する動力として水が必要となるわけです。(当時は電力はおろか、蒸気機関も導入されていないわけですから)

反射炉の構造の話、続きます。