おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

彼岸 GOGO2

彼岸花は独特な形をしています。花弁がくるっと反り返っているだけでなく、雄しべと雌しべが髭のように花弁より外に突き出て、線香花火のようにも見えますし、上から見ると口を開いた生物が、触手を周りに伸ばしているようにも見えます。英語で「red spider lily」の名前があるのは、後者のイメージを蜘蛛に見立てたのでしょう。

鮮やかな真紅のさることながら、花の形も印象的です(松戸 祖光院)

以下に述べる性質は、日本の彼岸花に特有の性質だそうです。

お彼岸の頃に一斉に咲くために、集団の暴力的な美しさがあります。その意味では、季節や花の色形は異なりますが、ソメイヨシノともイメージが被ります。

さらにソメイヨシノとの共通点が2つあります。

ひとつは、花を咲かせた後に葉が生えること。棒のような茎(花茎)の先に花が咲いていますが、一枚として葉がありません。秋の終わりに葉が伸びて翌年の夏に葉が枯れる、珍しい性質を持っています。

茎の先に花が咲いていますが、葉は生えていないのがわかります

もうひとつは、種を付けることがなく、球根が株別れして増えるか、球根が人の手によって植えられるかでしか増えていきません。ソメイヨシノも直接の子供を持たず、接ぎ木でしか増えない桜です。

日本の彼岸花ソメイヨシノと同様、すべて同じ遺伝子を持ったクローンであり、咲く時期が同じという共通点もそこから来ています。

秋のお彼岸の時期に一斉に咲くところから「彼岸花」の名前があるのですが、「これを食べると彼岸(死ぬ)しかない」という怖い一説もあります。実際に球根の部分にはアルカロイドを含んでいて、球根を誤って食べると、量によっては死に至ることもあるという強い毒性を持ちます。お寺の境内、特に墓地に植えられるのは、その毒性のある球根のために、埋められた死体が動物によって荒されるのを防ぐ効果があったから、ということだそう。

そのため彼岸花は、その特性にちなんだ別名を多く持っています。それについては次回で。