おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

彼岸 GOGO3

彼岸花の別名として最もよく知られているのは「曼珠沙華」(まんじゅしゃげ・まんじゅしゃか)でしょう。私の年代だと、山口百恵さんのヒット曲としても知られます。

「まんじゅーしゃかー 恋する女は まんじゅーしゃかー」(小岩 宝蔵院)

法華経」の中に

為諸菩薩説大乗経 名無量義 教菩薩法 仏所護念

仏説此経已 結跏趺坐 入於無量義処三昧 身心不動 

是時天雨曼陀羅華 摩訶曼陀羅華 曼殊沙華 摩訶曼殊沙華 而散仏上 及諸大衆

という一節があるのですが、意訳すると、

「(お釈迦さまが)多くの菩薩のために、大乗経に書かれた『無量義』『教菩薩法』『仏所護念』と名付けられた経典を説かれた。仏がこの経典の説法の時、結跏趺坐(座禅の時の坐る姿勢)され、心身とも不動であった。この時仏と菩薩たちの上に、天より『曼陀羅華』『摩訶曼陀羅華』『曼殊沙華』『摩訶曼殊沙華』の華が降ってきた。」

ここに出てくる「摩訶」は「大きな」という意味なので、「曼陀羅華(まんだらげ)」と「曼殊沙華」+それぞれの大きいもの、ということです。

いずれも伝説上の天界に咲く花で、「曼陀羅華」は美妙な花色の薫り高い花で、見る人に喜びを与え、「曼殊沙華」は柔らかな花びらの純白の花で、見たものの悪行を払う、とされています。

白い彼岸花もあるにはありますが…(八千代市 村上緑地公園)

あれ、「純白の花」じゃ、≠彼岸花ということになってしまいますが、サンスクリット語の「manjusaka」が「赤い」を意味するため、法華経が中国に渡ってからは、「曼殊沙華」は赤い花として解釈されました。

先に紹介した山口百恵さんの「曼殊沙華」のサビの部分の歌詞に

「マンジュ-シャカ 恋する女は マンジュ-シャカ 罪作り 白い花さえ 真紅に染める」というのがあります。

作詞の阿木燿子さんは、このことをご存じだったのでしょうか。それにしても花の色の解釈の変化を、女性の情念の変化として「白い花さえ 真紅に」とするあたり、すごく奥深い歌詞だと思います。

「曼殊沙華」だけでこの稿が終わってしまいましたが、彼岸花の別名、続きます。