おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

彼岸 GOGO5

別名が全国各地にあることからわかる通り、北は北海道、南は沖縄に至るまで、彼岸花は生育していますが、その場所は土手・堤・田んぼのあぜ道・墓地などです。これらに共通するのは、「人の手で掘り返された」あるいは「掘って積み上げられた」地で、かつ「適度に湿気のある土地」ということです。

球根に毒があることを利用して、土を荒らすモグラやネズミなどの小動物、虫を避けるために植えられたものと言われています。田んぼのあぜ道や土手に咲いているのは、稲を守り土手の土を荒らされないように植えられたということ。また、ミミズもその毒のために減るようです。

お寺の境内、墓地にも彼岸花が見られます(小岩 宝蔵院)

墓地に植えられるようになったのも、土葬されたお墓を害獣に荒らされないようにという目的のあってのことで、それがもとで不吉な別名をつけられた彼岸花にしてみれば、とんだとばっちりで迷惑な話です。

さて、今年のお彼岸は三連休。東京近辺の彼岸花の名所をいくつかご紹介できればと思います。まずは、日本一の彼岸花群生地として知られる、埼玉県日高市の「巾着田」。その数は500万本といわれます。

巾着田」(きんちゃくだ)とは地図からも言い得て妙な地名です

この地は地元では川原田と呼ばれ、文字通り高麗川(こまがわ)がU字型に湾曲した地域に田んぼが広がっていたそうです。「こまがわ」の地名からもわかる通り、渡来人が住み着いたのが8世紀ごろで、この地に稲作を伝えたのだとか。彼岸花が群生するようになったのは昭和50年~60年代のことだそうで、この地を日高町(当時)が取得し草藪を刈り取って整地したところ、彼岸花が大規模に群生するようになりました。

巾着田彼岸花 2017年9月20日撮影

湾曲した流れの地形のため、河川の蛇行や大雨による氾濫等により、球根が川の流れの内側に流れ着き、適度の湿気のある環境も相まって、これほどの大群生となったものと思われます。今ではこの時期になると多くの観光客でにぎわいます。5年前の訪問時も平日でしたが、私より10-20歳くらい年配の方が大勢鑑賞に来られていました。

川沿いの雰囲気も素敵です

今年の曼殊沙華まつりは今月17日から、来月2日まで開催されるそうです。

すっかり観光地として有名な巾着田ですが、次回はそれよりは人の多くない彼岸花の名所をご紹介します。