おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

蒸気機嫌で乗り乗り4

二本のレールを平行に敷くことで線路は成り立っていますが、この間隔を一定に保つのが、レールの下に敷かれる「枕木」です。「枕木」は英語では「sleeper」(英語)とか「crosstie」「railroad tie」(米語)といいます。「sleeper」は眠る人や寝間着から転じて枕木を表すようになったのでしょうか。「crosstie」は直訳すると「十字の結び目」、「railroad tie」は「鉄道の結び目」ということです。「枕」を意味する「pillow」は使われていなくても、線路の下に敷く「枕」の「木」というのは、なかなかうまい訳語です。(この稿を書くにあたり、命名者を調べてみましたが、わかりませんでした)

蒸気機関車と線路(龍ケ崎市歴史民俗資料館)

当時日本政府では、鉄道敷設にあたって資材調達は全てイギリスから調達するつもりでした。イギリスでは「枕木」はレールと同じく鉄製です。これが実現していれば、「枕鉄」という命名になっていたのかも知れません。

しかし、モレルは「日本はせっかく森林資源が豊富なのだから、国産の木材を使った方が良い」と、日本の実状を踏まえ、建設費を抑える提言を行いました。この提言は更に国内産業の振興・育成にも大きく貢献することとなりました。彼は単に鉄道を敷設するだけでなく、人の育成や国内産業の成長にも貢献し、「日本の鉄道の恩人」と賛えられているわけです。

明治三年(1870)4月25日(西洋暦)、鉄道建設の第一歩となる測量第一杭が打ち込まれました。モレルの部下であった副技術主任、ジョン・ダイアックがこの打ち込んだといわれています。

0哩標柱(旧新橋停車場跡)

この標識はここを起点として鉄道の工事を開始する、というもので、昭和三十三年(1958)に鉄道記念物に指定、昭和四十年(1965)には「旧新橋~横浜間鉄道創設起点跡」として史跡に指定されています。ある意味、鉄道記念日はこちらのような気がしなくもありません。

この日からモレルの監督のもとに鉄道建設がスタートしますが、続きは次回で。