おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

推しが菊

ようこそのお運び厚く御礼申し上げます。
この季節、神社やお寺の境内などで、「菊祭り」が開かれます。また、見せ方の一つとして、最近ではだいぶ減りましたが「菊人形」などもあります。

日本には法律で定められた「国花」はありませんが、春の桜と秋の菊が事実上の国花として扱われているようです。

茨城県笠間稲荷の菊祭り 2022年11月3日撮影

皇室の御紋章として知られる菊ですが、その起こりは鎌倉時代後鳥羽上皇にあるそうです。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では尾上松也さんが演じておられますね。菊をこよなく好んだ上皇は、身の回りのもの、衣服や御車、刀、懐紙などにも菊の文様を用いたとされています。また、自身で鍛冶をされ、作られた刀にはすべて菊の紋様を彫られる程のお気に入りでした。その後の天皇家もその思想を受継いで、菊を重用したことから「菊の御紋章」が皇室の御紋として定着したのだそうです。

こちらは亀戸天神の菊祭り 2022年11月12日撮影

元々日本には菊は存在せず、9世紀初めごろ中国から伝わってきたとされています。実際にはそれ以前に野菊の自生はあったようですが、狭義の菊にあたる家菊・栽培菊はありませんでした。それを裏付けるのが、「万葉集」には菊を詠んだ歌は一首もない、という事実です。平安時代の「古今和歌集」あたりから、菊を詠んだ歌が見られるようになってきました。

「菊」という字には「米」の文字が入っています。くさかんむりを除いた部分は、「手の中に米を丸めて握ったさま」を表しており、くさかんむりを加えて、「丸く握ったような形をした花」を意味しているのだとか。語源としては、日本に入ってきたときの中国語の音、「kuku」(クク)が転じて「キク」となったという説があります。もうひとつの説としては、一年の最後に咲く花で、「窮まる(きわまる)」が「キク」に転じたのだというのもあります。

ということで、この項では菊の園芸史と、今見られる各地の「菊祭り」、開催が終わるまでの間にご紹介していきたいと思います。