おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

暮らす松吊りー

冬の庭園では落葉する樹木が多く、降雪でもないと他の季節に比べて殺風景な感じです。そんな中で青々とした松の木には冬の主役として存在感を感じます。
降雪の重みで樹の枝が折れないように施される「雪吊り」は、金沢の「兼六園」が有名ですが、都内の庭園(小石川後楽園など)でも目にすることができ、冬の風物詩として知られます。もっとも、降雪の少ない都内では、本来の目的を果たせないまま春を迎える、ということも少なくないようですが。

晩秋から冬の間に見られる「雪吊り」(肥後細川庭園)

11月中旬から12月にかけて、都内各所で「雪吊り」の作業が行われます。庭園・公園のホームページやツイッターなどで作業日時を伝えて公開しているところも多いので、実際に雪吊りの作業を見学することが可能です。(年を越えた今の時期はさすがにありませんが)

元々、雪の多い東北・北陸地方で、樹木の枝に雪が付着して重くなり、折れてしまうのを防ぐために縄(針金を用いることも)で枝を吊って支えるもので、北陸では「雪囲い」とも呼ばれます。

Wikipediaの「雪吊り」の項では3つの方法が紹介されているので、ここではそのまま紹介します。

りんご吊り:樹木の幹付近に柱を立て、柱の先端から各枝へと放射状に縄を張ることをりんご吊りといい、雪吊の代表的手法である。これは、明治以降、西洋リンゴの栽培が日本で始まり、リンゴの実の重さから枝を守るために行った初期の技法に由来する。

みき吊り:高い樹木の幹から縄を張る方法。

しぼり:枝をまとめて縄で縛ったものをしぼりという。

谷中の天王寺境内の雪吊り

ということで、上の写真や、兼六園で見られるようなものは「りんご吊り」にあたるということがわかります。もっと古い方法かと思いましたが、明治以降の技法であったことは驚きですね。放射状に縄が張られた造形には何とも言えない風情があります。

冬の庭園で「しぼり」の樹木を見ても多分風情は感じられないでしょう。この「りんご吊り」にも、「兼六園式」「北部式」「南部式」があるようですが、その違いについては次回でご紹介します。