おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

暮らす松吊りー3

都立庭園9つのうち、雪吊りを行っているのは7庭園で、その全てが23区内にあります。都内の庭園(8つ)は現在東京都東部公園緑地事務所が所管していますが、かつては南部と北部の公園緑地事務所が存在していました。7庭園の管轄でいうと、北から

北部公園緑地事務所:旧古河庭園六義園向島百花園小石川後楽園

南部公園緑地事務所:清澄庭園浜離宮恩賜庭園芝離宮恩賜庭園

となっています。「雪吊り」はそれぞれの事務所を担当される庭師さんのセンスでそれぞれの工夫・進歩をとげ、それぞれ独自の方式を生み出しました。

兼六園式」とは違って、実用性より、その形状等を鑑賞する目的が大きいことから、「化粧雪吊り」とも呼ばれます。

向島百花園の雪吊り(北部様式) 頂点の「藁ボッチ」が特徴です

「北部式」「南部式」の一番わかりやすい違いは、芯柱の上に置かれた頭飾りです。藁ボッチと呼ばれ、芯柱(帆柱)の頂点に藁の穂で編んだ「留飾り」が被されます。

「裾回し」といって竹の骨組み(バチ)を取り付け、先端のブチの部分には割竹を回し、吊り縄を結びつけるのが「北部式」。

一方の「南部式」はというと、頭飾りが放射状に吊り下げられた中央部分を編み上げて「ばれん」(纏:まとい とも言います)と呼ばれる頭飾りとなるのが特徴です。

「南部式」雪吊り(芝離宮恩賜庭園)

ブチの部分には棕櫚縄(しゅろなわ)をまわし、それに吊り縄を結んでいます。

頭飾りとブチの裾の部分を見ることで、どちらの様式にあたるかを判別することができますが、「化粧雪吊り」ですので、あくまで実用性としてどちらが優れているかを問うことには意味がありません。都内で雪がうっすら積もった庭園を見る機会は希少ですが、3月くらいまではこれらどこの庭園でも「雪吊り」を見ることができます。二月下旬から三月にかけては、梅が咲き始める時期でもあり、各庭園の梅園と「雪吊り」の両方を楽しむことができます。その際には、是非「頭飾り」や「ブチの裾」にも注目していただければと思います。

「松」の話、まだ続きます。