おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

センチュウでござるぞ!2

「マツノザイセンチュウ」による被害を、「松くい虫」などと名付けられたのには、枯死した樹からキクイムシ・ゾウムシ類が多く発見されるからですが、これらの昆虫は松が弱り出してから樹に侵入したものではありません。この線虫が日本で発見されたのは、昭和四十四年(1969)のことで、それまでは松の木を食い荒らす「虫」が原因と考えられていたのでした。

公園内の日和山から見下ろす湊御殿の松

松くい虫が原因で枯死した木から、日本では見慣れない線虫が非常に高い確率で発見される現象が報告されてました。この線虫を松に摂取させてみたところ、その松が枯死したことで枯死の原因がこの線虫にあることが判明、「マツノザイセンチュウ」と名付けらえました。

樹木は根から水を吸い上げ、樹全体に行き渡らせますが、そのための管(道管・仮道管など)が線虫の移動によって詰まってしまい、水分が行き渡らなくなって枯死するとされています。(最近では発生する気泡によって詰まることがわかってきました)

本来、夏に青々としているはずの松葉が色あせていき、更には褐色に変化していきますが、ここまでになってしまうと、ほぼ枯死直前の状態です。

芝離宮恩賜公園の松

ところで、「マツノザイセンチュウ」は松の中で成長し、松を枯らすことはできるものの、他の松に移動する手段がありません。ここでその移動に関わってくるのがマツノマダラカミキリです。カミキリムシが成虫化する前に、蛹に線虫がに侵入、カミキリムシが成虫化して樹を脱出すると共に他の松に移っていく、という形で被害が拡がっていきました。

駆除用の薬剤はあるものの、枯死のメカニズムが前述のように「管の詰まり」にあるため、線虫が樹の中で増えてしまってからは効果がそれほど期待できません。感染前の予防的な使用が多いようです。

さて、善養寺「影向の松」にも枯死の危機に陥った時期がありました。この時の対策については「横綱の松」の際にも触れていますが、現テーマの関係上、次回その話をご紹介したいと思います。