おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

対策、松ったなし!

wikipediaの記載によると、善養寺の「影向の松」も「1970年頃から葉の勢いに衰えが見られるようになっていた。秋に褐色となった葉が、冬に大半が落葉したため、土壌に養分を与えて樹勢を回復させたが、1980年代にまた病害に遭った。」とあり、岡野の松が枯死した時期と前後してこの松も何らかの病気に罹ったことがわかります。

影向(ようごう)の名前をもじって、赤茶けた葉を見た人々からは、「これでは紅葉(こうよう)の松だ」と揶揄される始末でした。

晩秋の影向の松 衰えていた時期は赤茶けた葉が落葉したといいます

江戸川区立図書館のデジタルアーカイブで、2002年から行われた「江戸川区登録天然記念物善養寺影向のマツ樹勢回復事業」の実施報告書を閲覧することができます。

事業計画スタート前の現況の写真(白黒)も掲載されているのですが、幹の東側は「着色量は普通であるが黄化している葉が多い」のに対し、西側・北西側は「葉の変色・脱色、枝葉の枯死が著しい」とコメントされていて、拡大された写真でも北西部の枝葉がスカスカになっていました。更には地上におびただしい松葉が枯れ落ちています。

幸い、マツノザイセンチュウに感染した形跡はなく、次の2つの原因と対策が検討されました。

①土壌内の排水不良により酸素欠乏を起こしたグライ化といわれる現象が発生しており、土壌の改良が必要となっている。⇒松の根の伸びている範囲に直径30cm、深さ40cm、1m間隔で「スポット土壌改良」(全部で106ヶ所)という方法を実施。

②近くにあった池の埋め立てに加え、防火槽や排水ポンプの設置などにより水はけが悪くなり、水分過剰な状態で土壌が空気不足となっている。⇒排水用地下水路を設置

これらの対策を10年かけて行った結果、「影向の松」は樹勢に勢いを取り戻しました。

10年にわたる対策の結果、現在の姿があります

西の横綱がなくなってしまい。「一人横綱」となりましたが、いつまでもその雄姿を保ってほしいものです。

以上で「松」の話は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。