おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

愛妻家シーボルトの紫陽花か3

アジサイの語源を調べてみると、諸説あってはっきりとしないのですが、一番有力なのは「白山あじさい物語」にも書かれていた「集真藍」(アヅサアイ)、藍色が集まったもの、というもの。原種がガクアジサイということは、「集真藍」もガクアジサイ

f:id:tadakaka-munoh:20210616225259j:plain

真ん中の粒々(両性花)が「アヅサアイ」とも思えますし

ことを指していると思われますが、結実する花(両性花)の部分をそう呼んだのか、群生する様をそう呼んだのかわかりません。が、個人的にはガクアジサイが重なり合うほど群生したのを見たことがないので、前者のような気がします。

f:id:tadakaka-munoh:20210616230846j:plain

集まって咲いてもやっぱり密集という感じでは・・

一方でアジサイを海外に紹介するときに使われた「ハイドランジア」は、「水をたたえた容器」を意味するギリシャだそうです。こちらは水色と、鞠のように咲いた形状から、ガクアジサイではなく、ホンアジサイをイメージしていると思われます。

f:id:tadakaka-munoh:20210616231410j:plain

水をたたえた容器 言いえて妙ですね

アジサイとハイドランジア、語源はいずれもなるほどと思わせるものですが、表現とすれば水の器の方が詩的な感じがしますね。

さて、園芸愛好家の人気も高いアジサイですが、現在、2,000種類あるともいわれています。江戸時代、菖蒲における菖翁のように、アジサイの品種改良に取組んだ人物はいたのか、と調べてみました。その答えは次回に。

愛妻家シーボルトの紫陽花か2

シーボルトが、実際に共著の中で紹介した紫陽花の品種名は「Hydrangea Otaksa」

Hydrangeaアジサイを示すので、「お滝さんアジサイ」といったところでしょうか。残念ながら、この品種はシーボルトが日本に滞在した約50年前に同じ長崎の出島に医師として滞在し、帰国後日本の植物などを紹介したカール・ツンベリーによって、すでに発見・紹介されており、シーボルトの名付けた「Hydrangea Otaksa」は学術的に有効な名前として残っていません。

Otaksaが、お滝さん献じた名前であることを突き止めたのは、「日本の植物学の父」といわれる牧野富太郎博士ですが、博士は「花に花柳界の女性の名前を付けた」行為を非難しています。もっとも、博士も新種の笹を発見した際、前年に死亡した妻の名をとって「スエコザサ」と名付けているのですが・・・

文京区の「白山あじさい物語」に書かれていたのが、次の一節

アジサイは、ガクアジサイから生まれた園芸種と言われています。」

f:id:tadakaka-munoh:20210614231902j:plain

ガクアジサイ市川市 弘法寺)粒々に見えるのが両性花

ガクアジサイは結実する花(両性花)の周囲に装飾花が咲き、これが「額アジサイ」の名前の由来なのでした。花びらに見えるのは正しくは「萼」で、中央の粒状のものが本来の花だそう。

毬のように丸く花をつけるアジサイはガクの部分(装飾花)だけが発達したもので、こちらを区別する意味で「ホンアジサイ」と呼んでいます。

f:id:tadakaka-munoh:20210614232559j:plain

ホンアジサイ 見えているのは装飾花の部分(弘法寺

これを読むまで、私はガクアジサイは満開になる前のホンアジサイだと全く間違った認識でした。しかもホンアジサイ、といういかにも元祖的な名前がついていながら、ガクアジサイから生まれた、つまりガクアジサイの方が元祖だったとは!

アジサイの話、続きます。

愛妻家シーボルトの紫陽花か

文京区の白山神社内に富士塚があり、六月の土日には開放されているというので、開扉の三十分前から並んだのが二年前。上り下りした後に行列が5倍くらいの長さに増えていたのが、遠いことのように思われます。(@_@)

f:id:tadakaka-munoh:20210613173848j:plain

白山神社で紫陽花を撮影する際のオーソドックスな角度

富士塚については、都内他のものを別の機会にご紹介しようと思いますが、この季節は紫陽花の話をしようと思います。

f:id:tadakaka-munoh:20210613174139j:plain

白山神社富士塚登り口 といっても高さは4-5メートルですが

その際、「白山あじさい物語」という文京区が作っているパンフレット、というかプリンター印刷物をいただきました。上記の表題で検索すると、同じものがPDFで手に入れることができます。

そこに、二つの気になる情報が・・

アジサイシーボルト

短い文章ですが、シーボルトが自身の日本の植物に関する著書の中で、日本で愛した遊女其扇(そのおうぎ 本名はくすもと・たき)の愛称「おたきさん」の名前を付けて紹介した、というものです。

この話とは別に、オウムに言葉を教えるときに「オタケサン」と言うのは、シーボルトが、飼っていたオウムに恋人の名前「おたきさん」を教えようとしたものの、発音が悪かったのか、「おたけさん」としてオウムが覚えてしまった、という話もあります。

27歳で日本に来て、5年後シーボルト事件が起こり、日本を追放された後も、48歳まで結婚せずに過ごしています。心の隅に「おたきさん」と娘「イネ」と日本への想いがあったことでしょう。

シーボルトと紫陽花の話、もう少し続きます。

菖蒲 must go on 4

水元公園

どうしても紹介する場所が23区の東側に限られてしまいますが、紹介するのは葛飾区の水元公園です。金町駅から20分ほど北に歩いたところにあります。

江戸時代に作られた「小合溜」(こあいだめ)と呼ばれる用水池の南側に広がる都立庭園で、その面積は都立公園の中で最大93.4ha。上野恩賜公園が53.5haなので、その広大さがわかります。

f:id:tadakaka-munoh:20210612211543j:plain

水元公園 池の周囲に広大な公園が広がります

菖蒲園は公園のほんの一部とはいっても100種14,000株あり、見ごたえは十分です。ただ、品種の説明がないので、私のような菖蒲初心者は、どれがどれやらわからなくなりますが、品種にこだわらず花そのものを愛でるなら十分です。

f:id:tadakaka-munoh:20210612211920j:plain

色々な品種が混在して群生しています

また、広大な公園は自然いっぱいなため、野鳥も飛来するので菖蒲と白鷺を一緒に撮影できるチャンスも。

f:id:tadakaka-munoh:20210612212213j:plain

菖蒲田に白鷺が・・ この後、魚を捕獲して飲み込んでいました

公園内には「水辺の生き物館」や「各資格金魚展示場」などもあって、見るところがたくさんなるのに加え、広すぎるので他の菖蒲園とのハシゴには不向きです。

f:id:tadakaka-munoh:20210612213018j:plain

都内唯一の都立金魚展示場 無料で金魚が鑑賞できます

菖蒲の時期は睡蓮、7月になると蓮が楽しめる水辺の公園は、アウトドアで一日過ごすにはぴったりの公園です。また、公園の南にある「南蔵院」は大岡裁きでも知られた「しばられ地蔵」があり、公園に立ち寄る際は是非ご一緒に。(このお地蔵さんについてはまたの機会に)

 

皇居東御苑

最後にご紹介するのは、皇居東御苑。大手門から入る場合は、東京駅あるいは大手町駅が最寄りですが、平川門から入るのであれば、竹橋駅が便利です。

コロナ禍でずっと休園中でしたが、6月8日から公開再開となりました。

f:id:tadakaka-munoh:20210612215042j:plain

菖蒲田は庭園のほんの一部分です

菖蒲園ではないので、品種・数ともここで紹介した他の場所とは比べるべくもないですが、写真は3年前のものですが、歴史的な文化財だけでなく、併せて花を楽しめるのは、他の場所にない特長です。

f:id:tadakaka-munoh:20210612215605j:plain

天守閣跡脇の紫陽花

この項では無料で菖蒲の楽しめる場所をご紹介しました。20日以降もまだ(遅咲きの品種なら)花が楽しめると思いますので、花菖蒲を楽しんでいただければと思います。

菖蒲の話、最初の想像以上に長くなりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

菖蒲 must go on 3

もし、堀切菖蒲園から更にハシゴして、菖蒲三昧の一日を過ごすなら、約4㎞北にある、北綾瀬駅前の「しょうぶ沼公園」をお薦めします。歩くと遠いので、堀切菖蒲園駅横の(道路の向かい側ですが)バス停から綾瀬駅に向かい、そこから都営地下鉄千代田線で一駅です。駅の改札を出ると、すぐ前に公園の入口が・・ここまで駅近の公園はそうそうありません。

f:id:tadakaka-munoh:20210610223747j:plain

しょうぶ沼公園 入口案内板

公園に入ったところにある滝(人工ですが)裏のトンネルをくぐり、せせらぎのわきに沿って進むと、菖蒲田が広がります。

f:id:tadakaka-munoh:20210610224109j:plain

公園入口の先にある岩屋の滝

f:id:tadakaka-munoh:20210610224215j:plain

トンネルの中(滝の裏)から

ここで見られる菖蒲は約140種、8,000株。品種ごとが一列に整然と並べられている印象で、花の違いを比べながら鑑賞するのもいいかもしれません。

f:id:tadakaka-munoh:20210610224859j:plain

一つずつ整列するように植えられています

上の写真の三連の水車は、初めて見るものでした。一緒に回るさまをぼーっと眺めるのもまた良し。

園内には紫陽花もきれいに咲いているので、両方をワンカットに収めることもできます。

f:id:tadakaka-munoh:20210610230555j:plain

紫陽花と菖蒲 この時は時期が早かったかも・・

代々木上原や大手町方面から、千代田線で行くときは、必ず一旦綾瀬駅で降りた後、0番線のホームから北綾瀬行に乗り換えないと行けませんので注意が必要です。

小岩菖蒲園と同じく、常時開放されている公園なので、堀切菖蒲園の開園(9時)前に行って、堀切⇒小岩の逆コースも可能です。

次回はこれら三園ほどではないものの、花菖蒲を楽しめる水元公園と皇居二ノ丸庭園をご紹介する予定です。

 

 

菖蒲 must go on 2

堀切菖蒲園駅までは、小岩菖蒲園最寄りの江戸川駅から、京成上野行き各駅停車で5駅、12分〜20分くらい。バラツキがあるのは、途中特急などの通過待ちの関係です。
駅を降りて10分くらい南西に歩きますが、通常の標識以外にも、この時期はあちこちに案内看板が立っているので迷うことはないでしょう。

f:id:tadakaka-munoh:20210609230444j:plain

こういう看板が先々にあるので、迷うことはありません

途中、十二支神(十二神将ではない)や七福神の石像なども見ながら進みます。

f:id:tadakaka-munoh:20210609230629j:plain

他にはあまり見られない十二支の神像です

遊歩道では紫陽花の花も楽しめ、園に着くまでの約10分、歩いている時間は短く感じられるのではないでしょうか。紫陽花は、菖蒲というメインディッシュの前菜の役割も果たしています。

f:id:tadakaka-munoh:20210609230933j:plain

道の両脇に紫陽花が

菖蒲園は9時から17時まで 無料の庭園ですが、入口管理棟に堀切菖蒲園のパンフレットが置かれています。このパンフレットは、都の有料庭園(小石川後楽園浜離宮公園など)で配布しているのと同じ形式のもので(堀切菖蒲園葛飾区立の庭園です)、「本当にここ、無料で入っていいんだろうか?」などと思ってしまいます。

f:id:tadakaka-munoh:20210609232220j:plain

入ってすぐ左側にある管理棟で、パンフレットを貰って入りましょう

ここで見られる菖蒲は200種6,000本。小岩菖蒲園に本数では劣るものの、品種は都内随一。100M四方に満たないくらい公園に、十四の菖蒲田と、その間をぬう鑑賞のための小道は「見せ方を知っている」。菖蒲に関する案内も園内に点在していて、案内板を見ながら菖蒲を鑑賞すると、それだけで菖蒲通になった気がしてきます。

f:id:tadakaka-munoh:20210609233314j:plain

石灯籠や松や柳の木など、菖蒲を際立たせる脇役も存在感があります

菖蒲の前には品種名と江戸系などの系列を記した木札が立てられているので、気に入った品種の名前を覚えて、他の菖蒲園でも探してみてはいかがでしょう。

次回以降、あと3園、お薦めの公園をご紹介します。

 

菖蒲 must go on

せっかく菖蒲の色々を紹介してきたので、ぜひ今年は皆さんにも見ていただきたいところですが、20日までは緊急事態宣言中。でも、菖蒲は早咲きから遅咲きまで、一ヶ月半くらいは楽しめる期間があり、最終週の土日でも楽しめるのではないかと。

ここでは、パソコンやスマホでご覧になるだけでなく、興味を持たれた方に、気楽に行けて(無料)都内にある菖蒲の名所をご紹介していきます

 

小岩菖蒲園

f:id:tadakaka-munoh:20210608221454j:plain

小岩菖蒲園 江戸川を隔てて対岸は市川市です

四年前に初めて行って、菖蒲に魅せられるきっかけになった場所です。
京成江戸川駅徒歩3分で、江戸川の堤防を越えると到着する好立地。河川敷に拡がって、柵などもないので、心理的にも気軽に菖蒲を楽しめます。それでいて、咲いている菖蒲の数は約50,000本と都内では最大級を誇ります。種類はちゃんと数えたわけではないですが約50種類くらいでしょうか。

f:id:tadakaka-munoh:20210608222248j:plain

河川敷が広いので、ゆったりと時間が流れます

ザリガニなどを釣るファミリーの姿も見られるものの、面積が広いので混雑しているとまで感じることはないと思います。

f:id:tadakaka-munoh:20210608222426j:plain

5分おきくらいに、鉄橋を京成電車が通ります

24時間出入り自由なので、朝早いうちに行くと、より人の写り込まない写真が取れそうですし、「堀切菖蒲園駅」にも京成電車で10数分で到着(駅からは歩きますが)なので、菖蒲をはしごするにはもってこいかも。

次回は、前の項と重複しますが、「堀切菖蒲園」をご紹介します。