おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

上水の樋(ひ)から水が漏る

ようこそのお運び厚く御礼申し上げます。 江戸っ子が江戸生まれであることを自慢する言葉に「水道の水で産湯(うぶゆ)を使う」というのがあります。といっても時代劇などを見ても長屋の中心に井戸があって、おかみさんたちが井戸端会議、というのはあっても…

吉良めきは永遠に2

実相院から10分弱北に、今回ご紹介する勝光院があるのですが、参道の手前100Mくらいのところに「禅曹洞宗 勝光院」の石碑があり、往時はここまでが寺域だったんでしょうか。 住宅地の中にある勝光院の石碑 進んでいくと、雰囲気のある参道の奥、門の周辺には…

吉良めきは永遠に

代官屋敷から南西方向に6-7分歩いたところに「実相院」の立派な塀が見えてきます。 実相院 山門(駒留通り側) 実相院は、吉良氏朝またはその子である頼久が開基とされています。氏朝は、鷺草伝説のお殿さま、吉良頼康の養子にあたります。「吉良星の如く3」…

世田谷たがやせ2

代官というと、水戸黄門のドラマなどで出てくる、賄賂商人と結託する悪代官を想像してしまいます。世田谷領はどうだったかは知りませんが、幕府直轄地の天領では、一般的に諸藩よりも租税が安いところが多く、評判の悪い代官はすぐに免官、つまりお役御免に…

世田谷たがやせ

常盤塚から世田谷通りに出て、西へ向かいます。世田谷駅(松陰神社の話はいつか別の機会に)に近づいてくると、柱に「世田谷代官お膝元」と書かれた街灯が並んでいます。世田谷駅の前を南に曲がり、病院の角を西に入る通りが「ボロ市通り」。 毎年12月の15・…

後悔、鷺に立たず5

「常盤塚」の案内板や碑文に「駒留八幡」の名前が出てきます。実際にここから5,60Mのところに「駒留八幡神社」がありました。 駒留八幡神社 社殿は奥の階段の奥にあります 鎌倉時代(14世紀初頭)に当時の領主(北条一族:鎌倉幕府の執権の一族ですから前北…

後悔、鷺に立たず4

この項でご紹介した鷺草伝説では、常盤は自らの境遇をはかなんで自ら命を絶った、というものでしたが、別のバージョンもありまして・・ 世田谷線「若林」駅から環七通りを300Mほど南に行くと、世田谷通りと交差し、「常盤陸橋」の名前の陸橋があります。そこ…

後悔、鷺に立たず3

鷺草伝説を調べていて、世田谷区の花が鷺草だというのを知りました。豊島区のソメイヨシノ、ツツジといい、まつわるエピソードがあるのはいいですね。 九品仏浄真寺境内には鷺草園があり、8月の上旬に白い花が見られるようです。 鷺草はラン科の湿地性の多…

後悔、鷺に立たず2

他の側室たちばかりでなく、頼康にまで疎遠にされた常盤、身の置き所のない気分だったことでしょう。(側室として入っているわけですから、常盤がいるのは世田谷城です) 常盤は、幼いころから白鷺を飼っており、輿入れにも連れてきていました。いわれのない…

後悔、鷺に立たず

大井町線の九品仏(くほんぶつ)駅前にある浄真寺、二十三区内にありながら、京都の古刹を思わせる風情で、お気に入りのお寺の一つです。印相(両手指の形)の異なる九体の阿弥陀如来像が祀られていることから、浄真寺の通称「九品仏」が駅名となったものです…

吉良星の如く4

和尚さんが、あり合わせのお茶のもてなしをしている間に、夏空はかき曇って夕立が降り、雷鳴が轟き始めます。 足留めの間和尚は説法などをしたところ、武士は「我こそは江州彦根の城主井伊掃部頭直孝なり、猫に招き入れられ雨をしのぎ貴僧の法談に預かること…

吉良星の如く3

15世紀の終わりごろ、当時の吉良氏当主の伯母に当たる「弘徳院」のため、同じ名前の庵を作りました。秀吉の小田原城攻めの際、吉良氏は戦わず世田谷城を放棄、城から1キロ足らず南の地に隠棲します。世田谷城は廃城となりました。 徳川の時代となり、吉良氏…

吉良星の如く2

小田急の駅名にもなっている「豪徳寺」で、駅を降りると「招き猫」が迎えてくれます。招き猫については、また別の機会に取り上げたいと思います。 豪徳寺駅前の「招き猫」世田谷線の「山下駅」もすぐそこです 最寄りの駅はというと、東急世田谷線で「山ノ下…

吉良星の如く

ようこそのお運び厚く御礼申し上げます。 さて、題名にあるように今日から吉良氏の城址を紹介していきますが、「吉良」と聞いて、ほぼ十人が十人とも「吉良上野介」「忠臣蔵」を思い浮かべるでしょうが、ここで出てくる吉良氏は忠臣蔵の吉良氏と異なります。…

豊島に用心、城用心6

練馬城に打ちかかり、周辺に火を放った道灌は、元々陣を敷いていた沼袋氷川神社まで戻る気配を見せますが、それは豊島氏を城からおびきよせる罠でした。伏兵を潜ませ、一騎打ちの武者に対して徒士の兵士が集団で打ちかかる、道灌得意の「足軽軍法」です。 こ…

豊島に用心、城用心5

これらのお話は、「東京城址高生」とかぶるところががありますが、悪しからずご覧いただければ幸いです。 「長尾景春の乱」における対立図式は 上杉氏側:山内(埼玉・群馬に本拠)・扇谷(川越・江戸に本拠)の両上杉氏 太田道灌(扇谷上杉氏の家宰)、長尾…

豊島に用心、城用心4

「王子の狐火」の話でも、王子は田園地帯で、狐が多く棲んでいたことがわかります。狐は人に化けて人をだますといわれます。昔話にも、支払われたお代のお札が木の葉だった、というのがよく出てきます。王子に棲む狐も人をだますことで知られていました。「…

豊島に用心、城用心3

一日書くのを休んでしまいました。豊島氏について語ろうとすると、ここから練馬方面に移らないといけないのですが、王子近辺には雰囲気の良い場所が多いので、それを紹介してからにするか、豊島区にこだわるか・・ 結果前者を選びました。といっても2回ほど…

豊島に用心、城用心2

上中里駅の北隣の駅が「王子駅」で、桜の話で紹介した飛鳥山や七社神社の最寄り駅ですが、地名は王子神社に由来しています。 源義家の奥州征伐の際、この地に慰霊祈願のため鎧兜を納めた、という故事が伝わっていて、十一世紀後半には聖地として尊敬を受けて…

豊島に用心、城用心

東京で「豊島(としま)」という地名で思い浮かぶのが、まず豊島区。山手線の駅でいうと、東端が駒込駅から、池袋・目白駅までのエリアに加え、千川駅(有楽町線)や東長崎駅(西武池袋線)まで東西に長い区域です。もう一つ思い浮かぶのは、昨年8月末に閉演…

大事の前の城址4

企業ドラマ的にいうと、 社長の山内と扇谷専務は牽制し合いながらも、親会社関東足利商事の圧力を乗り越えた上杉物産。社長と専務の反目は強まっていくばかり。 その中で、社長子飼いの長尾取締役は、自らの待遇への不満から中堅社員を味方につけ、社長に反…

大事の前の城址3

知名度のわりに、どういう人生を送ったのかがよくわからない、という人物の代表的な一人が、太田道灌といえるでしょう。ちょっと長くなりそうですが、ここでは南北朝時代から室町時代に至る関東のカオスな状況を述べる必要がありそうです。 ここから、文字ば…

大事の前の城址2

太田道灌は江戸城以外にも河越城(川越)、岩槻城(この二つはいずれも埼玉県)や御殿山城(品川区の御殿山近辺)、筑土城(新宿区筑土八幡近辺)を築いたとされます。 築城の名人というだけでなく、源平以来の「一騎打ち」の戦法から、身軽な装備な歩兵が騎…

大事の前の城址

ようこそのお運び厚く御礼申し上げます。 新刊が出るのを楽しみにしている漫画のひとつに、「東京城址高生」(ハルタコミックス)があります。主人公の女子高生が、城址散策好きの同級生と知り合って、城址散策の仲間を増やしていく過程で、東京他の城址や城…

桜、咲くに見惚れる6 余談

今週は桜の話を駆け足で進めてきたので、いくつか説明不足というか書き足りなかったところがありました。少し補足と余談です。 染井霊園ですが、多くの著名人が眠っています。 日本美術史の研究家で、東京美術学校の設立に大いに関わった岡倉天心、「浮雲」…

桜、咲くに見惚れる5

ようこそのお運び厚く御礼申し上げます。 前回、八代将軍吉宗の時代に飛鳥山に桜を植えた、という話をしましたが、飛鳥山という山はどこにあるのでしょう?「飛鳥山公園」が王寺駅の西側にあります。現在でもソメイヨシノを中心に約650本の桜が植えられてい…