おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

砲術は爆発だ~ 江川太郎左衛門6

英龍は長崎に出向いて高島秋帆に弟子入りし、高島流砲術を学びます。更に江戸で演習を行うよう進言します。折も折、天保十一年(1840)に隣国の清とイギリスとの間にアヘン戦争が勃発します。戦争は2年にわたり続きましたが、イギリスの一方的な勝利となりま…

砲術は爆発だ~ 江川太郎左衛門5

この当時、英龍は「尚歯会」(しょうしかい)というグループと交遊を持ちます。この会は表向き「歯を大切にする」という意味の「尚歯」を会の名前に使い、尚歯会と名乗って高齢の隠居者・知恵者やそれを慕う者の集まりとしていました。 実際には医学・語学・…

砲術は爆発だ~ 江川太郎左衛門4

この時期日本近海に外国船がしばしば見られ、その中には捕鯨船も多く見られました。これは欧米においてランプなど灯火の燃料として鯨油が用いられたためです。今でこそ燃料といえば石油ですが、石油を採掘し使用するのはこれより後のことです。 当時の捕鯨は…

砲術は爆発だ~ 江川太郎左衛門3

韮山代官の支配する地域は広く、石高は多いものの、代官への給米は150俵。これは知行地でいうと150石取りにすぎません。更に支配地域の行政のための手代や他の雇人がいたことを考えると、台所は火の車でした。そのため、自身を先頭に家人・雇人には徹底的な…

砲術は爆発だ~ 江川太郎左衛門2

前回ご紹介したように、「江川太郎左衛門」表記ではいつの時代の当主かわからないので、「江川英龍」表記で話を進めていきます。さて、前回ご紹介したように、伊豆韮山代官としての江川家は大名並みの領地を治めています。当時の地域の人たちからは「殿様」…

砲術は爆発だ~ 江川太郎左衛門

ようこそのお運び厚く御礼申し上げます。 六月に伊豆の三島・韮山方面に旅行しました。「鎌倉殿の十三人」の北条氏と、幕末に活躍した江川太郎左衛門英龍ゆかりの地をいっぺんに巡ろうとしたのですが、ちょっと強行軍過ぎて北条氏関係の史跡めぐりは中途半端…

眠れる種子3

古代蓮会館のエレベーターで2階へ。2階というよりそのまま展望台という方がしっくりきます。ハスの花が咲き誇る池の情景が眼下に、という絶景を期待するとあてが外れます。いくら古代蓮の花が大ぶりで数が多いといっても、その周りの葉の大きさと数には敵わ…

眠れる種子2

「古代蓮の里公園」は14ha(東京ドーム3個分)の広さを持ち、行田蓮10万本の他に、世界の蓮などが2万本、6月中旬から8月上旬位まで来園者の目を楽しませてくれます。 私が行ったのは2019年7月中旬でしたが、平日だったせいか混雑はなく、また年配のカメラを…

眠れる種子

大賀ハスは、遺跡に眠っていたハスの種を見つけ出し、大賀博士が種を育成、言い換えれば眠りから覚まして育てたケースですが、永い眠りから偶然覚めて花開くケースもありました。埼玉県行田市の「行田ハス」がこれにあたります。 行田市にある「古代蓮の里」…

根掘りハスほり3

遺跡からのハスの種の発見から発芽・生育まで、とてもドラマティックな話です。このニュースは国内外に報道され、その年の秋には米国のグラフ雑誌「LIFE」に「「The Oldest Flower」という記事が紹介されました。その際、博士の名前をとって「大賀ハス」(Og…

根ほりハスほり2

縄文時代の遺跡、しかも湿地の泥の中から、ほんの小さなハスの種を見つけ出そうという試みです。博士に許可された調査期間は3月3日から月末31日までにすぎませんでした。雨が降ると水が溜まるのをポンプで排水するような環境の中で、集まった人たちが掘り出…

根ほりハスほり

本題に入る前に、大賀博士による不忍池での観蓮会は、太平洋戦争で一度中断しています。これは、食糧不足を補うため、この一帯も蓮を取り去って水田としたことによります。堀切菖蒲園周辺の菖蒲園も水田になった話を紹介しましたが、そこかしこでそういった…

ハス・ノート(ハスの音)2

前日夜から池畔にある料亭に参加者が集合し、ハスをテーマとする研究発表や議論が行ないました。博士の見積もりでは、当初50人くらいだと思っていた参加者が、実際には150人にも膨れ上がったそうで、料亭では料理や飲物を手配するのに大わらわだったようです…

ハス・ノート

本家琵琶湖の竹生島は、湖の北部に浮かぶ島で、日本三大弁天の一つとされています。不忍池の弁天堂がある中の島も、当初は舟で渡るようになっていましたが、寛文十二年(1672)に石橋が架けられ、歩いて渡ることができるようになりました。現在では反対側に…

明日に架ける蓮5

上野公園、正式には上野恩賜公園は元々寛永寺の寺領でした。最盛期の寛永寺の寺域は30万5千余坪にもおよぶ広大なものでした。ピンときませんが、東京ドーム約22個分というとその広さに実感がわきます。 しかし、現在では上野公園の中で寛永寺をイメージする…

明日に架ける蓮4

続いて二十三区内のハスの名所と知られるのが不忍池です。秋に池のほとりを歩くと、茶色の変色したハスの葉が池を覆っていています。 11月の不忍池 池を覆う枯れたハスの葉 これが春になると鮮やかな緑の葉となり、六月から七月にかけてハスの花を咲かせます…

明日に架ける蓮3

午前中にしか花が見られないと、早起きして出かけるしかないですが、場所によっては早すぎるとまだ開園していないところもあるので注意が必要です。(この時期早朝から開園するところもありますが)23区内で、かつ早朝から観察が可能なのは、上野不忍池と葛…

明日に架ける蓮2

蓮の花の散った後、花びらのついていた元の部分、これを「花托」(かたく)と呼びますが、その部分の写真です。写真左の緑の半球形が「花托」にあたります。 右の花と比べると「花托」がどの部分にあたるかわかりやすいですね 「花托」は何かに似ていません…

明日に架ける蓮

夏の朝咲く花といえば、まずは朝顔なのですが、散歩で見かけることは多くても、名所としてご紹介できるところを現時点では知りません。同じ夏の朝の花でも、今回取り上げるのは「蓮」です。 先に申し上げておくと、今回掲載する写真は2019-2021年の7月に撮影…

煙草(なつくさ)やつわものどもが煙のあと 番外「突破」編

NHKの「映像の世紀 バタフライ・エフェクト」を楽しみにして観ています。 「バタフライ・エフェクト」とは、アメリカの気象学者、エドワード・ローレンツが1972年に行った講演タイトル「redictability: Does the Flap of a Butterfly's Wings in Brazil Set …

煙草(なつくさ)や つわものどもが煙のあと6

また、同じく包丁余語第四号の「肉食談義」では、日本における肉食の歴史について神代の時代から、奈良・平安そして江戸・明治以降まで切々と述べていきます。 その中に「明治十年、西南戦争で家を焼かれ、食うに困った薩摩の一青年が上京してきた」とのくだ…

煙草(なつくさ)や つわものどもが煙のあと5

かつ吉水道橋店は地下一階にあります。階段を降りると重々しい木の引戸の入口があり、なんだか違う時代へのドアかと思わせます。 入口を入るといきなり岩のオブジェ?が 扉の先には石庭をイメージしたようなオブジェと、豚の像が迎えてくれます。この豚は後…