おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

2022-01-01から1年間の記事一覧

吉良 KILLER TEAM

討入りを果たした赤穂浪士の数は四十七ですが、大石が11月29日に作成、内匠頭の妻瑤泉院に提出した書状には仇討の参加者は50名となっていました。そこに名前があった矢野伊助・瀬尾孫左衛門・毛利小平太の3名が直前に脱盟したからです。 四十七士は本所にあ…

言うは易く 行うは仇(かたき)3

討入りの日を決める吉良の在宅日の情報入手に奔走したと言われているのが横川勘平と大高源吾です。横川勘平は三島小一郎という名前で本所の堀部安兵衛宅に居候していましたが、ある僧侶と仲良くなります。この僧侶は吉良邸の近くで茶道の宗匠をしていました…

言うは易く 行うは仇(かたき)2

12月2日に、深川八幡(現在の富岡八幡宮)前にあった大茶屋に一同が集まります。「頼母子講」の集まり、という名目での会合でした。「頼母子講」とは「無尽講」ともいい、参加者が積立したお金を集め、会合で参加者の一人がそのお金を受け取る、という仲間内…

言うは易く 行うは仇(かたき)

神文を書いた元藩士ではあっても、中には廃藩後は連絡を取っていない者もいます。江戸の横川、上方の大高、貝賀はつてをたどりながら居場所を探し、会って回ります。 「討入りする気持ちに変わりがないか?」などとストレートに訊いたのでは、武士の面目があ…

中心グラグラ5

大石は御家再興運動を続けますが、急進派はそれを見守りながらも、浪人暮らしのこと、経済的な窮乏もあって焦りは次第に強くなります。1大石らに近い藩士を外し、自分たちだけ10数名自分で討入りを行えば、浅野大学や大石の動きと無関係であり、迷惑がかかる…

中心グラグラ4

「討たれたらあとから仇討ちよろしく」と言われて「承知しました。心置きなく行っておいでなさい」などいうような安兵衛ではありません。成り行き上当然のことながら「私も一緒に助太刀いたします」と返答、高田馬場に同行することになります。この決闘の当…

中心グラグラ3

江戸の堀部安兵衛を中心とする「江戸急進派」に対して、大石ら京都・大坂の「上方漸進派」の対立は深まります。どちらも主君・主家への忠義を行動で示そうという気持に違いはないのですが…堀部安兵衛の「忠義」の対象は、浅野内匠頭「個人」にあったといえま…

中心グラグラ2

12月に京都山科に戻った大石ですが、この頃から廓での放蕩が激しくなったとされています。これが世の中を欺くためだったのか、本当に楽しんでいたのかについては色々説のあるところです。ちなみにこれらの遊興費は前回ご紹介した「御家再興総予算」を使った…

中心グラグラ

この稿を書くにあたって、「決算!忠臣蔵」をアマプラで鑑賞しました。2019年に公開された映画で、山本博文さんが著された「忠臣蔵の決算書」を実写化したドラマです。 前回ご紹介したように、元禄十四年(1701)4月19日に完了しているのですが、藩士への分…

赤穂は野となれ山となれ3

幕府からは改易となった以上、早く城を明け渡すよう要請されており、また浅野本家(広島藩)や親族の大名からも抵抗することなく明け渡しを、という使者が遣わされています。一方で藩士から出た意見で多かったのは、籠城する、という勇ましい意見でした。こ…

特別編 泉岳寺義士祭

本来なら前回の話の続きで、赤穂城でのやり取りをご紹介するところですが、12月14日を迎えてしまいました。この日に討入りの記事になるようにするべきところ、まだ刃傷事件後・・ 有給取得の関係でたまたま本日午後休みとなりましたので、高輪泉岳寺の義士祭…

赤穂は野となれ山となれ2

普通なら17日かかるものを4日半で赤穂まで行き着くわけですが、所要時間で割ると時速6キロ足らず、という計算です、これは不眠不休で進んだときのスピードで、実際には途中の休憩などを含めると、少なくとも二、三割増しのスピードはあったと思います。ま…

赤穂は野となれ山となれ

処分を聞いた内匠頭は「今日不調法なる仕方いかようにも仰せ付けられるべき儀を切腹と仰せ付けられ、有難く存知奉り候」と答えたとあります。現代語に直すと「今日しでかした不調法なやらかしに、どのような処分が下されてもしようがないとこと、切腹を命じ…

ヤバいは気から2

内藤忠勝は切腹を命じられ、志摩藩はお取潰し(改易)、継嗣もなく御家断絶となりました。切腹が行われたのは6月27日、事件が起こった3日後です。一方刺殺された永井尚長にも継嗣がおらず、事件の経緯から永井にも落ち度があるとしてこちらも改易となってい…

ヤバいは気から

刃傷事件後に浅野内匠頭を取り調べた時の記録によると、「私は持病に痞(つかえ)があり、物事を取り鎮めることが出来ない」ということを証言していたといいます。また、吉良の傷の手当を行った医師、栗崎道有(くりさき どうう)が遺した記録によると、浅野…

葵(あおい)に塩

塩田にまつわる確執がこの事件の原因だとする説があります。この説は江戸時代に出されたものではなく、戦後に発表されました。昭和五十七年(1982)の大河ドラマ「峠の群像」でもこの説が採用され、一般に広く知られるようになります。原作者の堺屋太一さん…

待つの労苦4

いじめの原因となっているのが「賄賂」となっていて、いかにも吉良が強欲な印象を受けますが、コンプライアンスの厳しい現在と異なり、江戸時代は指南を受ける側が指南者に付届けを行うのは慣例でした。 浅野が饗応役を命じられるのはこれが初めてでjはあり…

待つの労苦3

浅野内匠頭は刃傷のその日のうちに切腹し、取り押さえられた後の幕府役人による聴取では、「私的な遺恨から前後も考えずに、上野介を討ち果たそうとして刃傷に及んだ。どのような処罰を仰せ付けられても異議を唱える筋はない。しかし、上野介を打ち損じたこ…

待つの労苦2

この刃傷事件に居合わせて、吉良に切りつけた浅野を取り押さえたのが、旗本の梶川与惣兵衛頼照(かじかわ よそべえ よりてる)でした。 梶川は大奥御台所(将軍綱吉の正室信子)付き留守居番を務めていましたが、この日の式典の時間が諸事情で早まったことか…

待つの労苦

赤穂事件は2つの大きな事件を一くくりにしています。 赤穂藩主、浅野内匠頭長矩(あさのたくみのかみながのり)が江戸城の「松の廊下」で、高家の吉良上野介義央(きらこうずけのすけよしひさ)に切りかかった事件。 1年9ヶ月後、赤穂藩筆頭家老の大石内蔵助…

ハラキリの真っ最中2

話は新正堂に戻ります。店の外には荘重な音楽がエンドレスで流れているのですが、この曲は昭和三十九年(1964)の大河ドラマ「赤穂浪士」のオープニング。「赤穂浪士」は、大河ドラマの第二作にあたります。 切腹最中 はみ出さんばかりの餡が特徴です 第一作…

ハラキリの真っ最中

ようこそのお運び、厚く御礼申し上げます。 新橋駅から西へ10分ほど歩いたところに「御菓子司 新正堂」があります。 御菓子司 新正堂 暖簾に「切腹最中」と「新橋田村町」の文字が 「切腹最中」で有名な和菓子のお店ですが、「新」橋にあって、創業が大「正…

にらみが菊2

「団子坂」というのは、地下鉄千代田線の千駄木駅から西に本駒込まで伸びた道路にある坂です。ちなみに江戸川乱歩が明智小五郎を初めて登場させた「D坂の殺人事件」の「D坂」は、ここ団子坂を舞台としています。 youtubeで「団子坂 菊人形」と献策すると、文…

にらみが菊

子供の頃、阪神間に住んでいて、甲子園球場の東側に道路を挟んで「阪神パーク」という遊園地(2003年に閉園)がありました。個人的に動物園としてのイメージが強いのは、世紀の珍獣「レオポン」(ヒョウとライオンを交雑させたもので、日本にはここしかいま…

菊、菊、菊の谷だ~2

「造形」は、懸崖用の小菊を使って動物や五重塔などを模して作るものです。「懸崖作り」もそうですが、展示するにもそれなりの広さが必要となります。そのため、ある程度大規模な菊祭りでないと目にすることができません。 茨城県笠間稲荷の菊祭り 五重塔の…

菊、菊、菊の谷だ~

前回ご紹介した「三本仕立て」を基本として、本数を増やす「五本仕立て」「七本仕立て」も、花の咲く位置まで考えて茎を誘導(「誘引」と呼んでいます)したり、花の形状・大きさを揃える技術の見せどころです。逆に一本の大菊で魅せる「一本仕立て」もあり…

華が菊3

「一文字菊(いちもんじぎく)」は、長く幅広い花びらが円形に平たく広がって咲きます。皇室の「菊のご紋章」に似ていることから、「ご紋章菊」の別名もあります。「細管」以上に花びらが重力に負けてしまうため、輪台が欠かせません。 皿のように支える輪台…

華が菊2

菊の文字に「丸く握ったような形をした花」の意味があることは以前ご紹介しました。一つ一つの花びらが湾曲した集合体が「菊」を形どっているわけですが、「厚物」はその最たるもので、いわば「でっかいお握り」といっていいでしょうか。 この項で紹介する「…

華が菊

江戸時代に菊園芸は全国的に大きく発展したわけですが、宝暦五年(1755)には『菊経』という菊の栽培書が刊行されています。菊の栽培が大きなブームとなったのが正徳年間(1711~16年)で、京都から始まった「菊大会」「菊合わせ」は勝った方の菊の苗に一両…

推しが菊2

平安時代から、九月九日の「重陽の節句」に、菊の香りを移した「菊酒」を飲んで邪気を払い無病息災や長寿を願う風習が中国から伝わっていました。菊の香りを酒に移す、といっても、花びらを浮かべるくらいのものから、蒸した菊の花びらを一晩くらい花を浸す…