おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

立てば餅焼く 座れば牡丹餅2

前回、ぼたもちの「ぼた」は粗悪なくず石炭という説を紹介しました。黒い石炭と、黒い餡にくるまれた牡丹餅のは似ているので、いかにもと思わせます。が、日本で採炭が始まったのは明治期からで、牡丹餅が作られ始めた江戸時代には、石炭に見立てるこが不可能で、この説は時間的にあり得ない、ということになります。

牡丹餅は江戸時代から春のお彼岸に作られ食されていたもので、当時の餡の方が、現在より小豆の赤に近い色だったのかも知れません。すると外を覆った餡の色から「牡丹」に見立てられたすると、なんとなくわかる気がします。

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これより黒みがかった赤色であれば、小豆色に近いかも

江戸時代の初めの頃は、砂糖が手に入らないことから、塩味の餡だったようです。砂糖が一般に普及するようになったのは十八世紀以降のことで、そこから餡に砂糖が加えられるようになりました。

牡丹餅は「餅」とはいっても、ついた餅を使うわけでなく、米の粒の形を少し残してつぶして餅状にします。この米粒をつぶすのに使うのが「へら棒」。米以外にも粟や稗などの穀類もつぶすことから、へら棒=「ごくつぶし」の連想から、役立たずをののしる言葉「べらぼう」の語源はこの「へら棒」といわれます。(他にも説あり)

「牡丹餅」というと「おはぎ」と何が違うのかという疑問が出てきますが、春の彼岸に食べられたのが「牡丹餅」、秋のお彼岸時期のものが「おはぎ」と呼ばれるようです。

牡丹に対して萩の花。秋に咲く紫色の小さな花をたくさんつけている姿は、確かに小豆のイメージとも重なります。

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萩の花 粒々の感じは小豆っぽい?

春秋だけでなく、夏と冬にも別名があるのをご存知でしょうか?夏は「夜船(よふね)」冬は「北窓(きたまど)」といいます。前述のように、牡丹餅(おはぎ)は餅をつかずに作ります。餅をつく音がしないので、いつついたかわからない、というのを夜中に運航していた船がいつ着いた(到着した)かわからない、とかけて「夜船」。

また、北側の窓は月が見えない=月(もちつき)を知らないこととかけて「北窓」。

江戸の庶民の洒落っ気が別名に現れていますね。

牡丹の話、続きます。