おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

「まめだ」を葉イチョウ

前回まで塙保己一の流れで、当初考えていなかった荻野吟子まで話を進めてしまい、12月頭くらいに書くつもりだったのが、気づけばもうクリスマス&年末。少し季節外れですが、今年の異常気象に免じてご容赦下さい。
今年は秋の訪れと同様、紅葉も遅れていましたね。東北や北関東では(行ってませんが)一ヶ月近く、南関東では一二週間後ろずれしていたのではないでしょうか。
秋になってイチョウの葉が色づくと上方落語「まめだ」を聴きたくなります。晩秋の代表選手のような噺ですが、作られたのは昭和四十一年(1966)のことで、噺に年齢があればまだ還暦すら迎えていな新作落語です。

黄金色に色づくイチョウの樹(文京区 水神社)

この噺をご紹介する前に、サゲの情景で重要な役割を果たす「イチョウ」の「黄葉」についてちょっと触れます。「紅葉」というとカエデなどのように紅くなるのが真っ先に頭に浮かんできますね。しかし、イチョウのように黄色くなる「黄葉(こうよう)」や褐色になる「褐葉(かつよう)」も含め、落葉する前に葉の色が変わる現象を総称して「紅葉」と呼ぶようです。

元々、光合成をするために必要な「クロロフィル」が葉に含まれていることから緑色に見えるのですが、落葉樹では秋になって日照時間が短くなってくると、クロロフィルが分解されていきます。葉に元々「カロテノイド」という色素がありますが、クロロフィルがたくさん含まれる春・夏にはそれの裏に隠れてカロテノイドの色は見えません。

が、秋になってクロロフィルが分解されるとカロテノイドの色が現れてきて黄色に見える、というのが「黄葉」の仕組みです。

クロロフィルとカロテノイド(キサントフィル)のバランスで色が変わります

落葉樹はすべて「黄葉」しそうなものですが、葉が老化する過程でアントシアニン(赤紫蘇やブドウの赤)が生成される種類の植物では「紅葉」が、タンニン性の物質やフロパフェンという褐色の物質が蓄積される植物では「褐葉」が発生します。

ついでにいうと、アントシアニンは日当たりが良いとたくさん生成されるので、気温が低くて天気が良い状態だと紅葉は鮮やかになるようです。年によって紅葉の善し悪しがあるのはそのあたりの影響があるとのこと。一方「黄葉」は気温の低下でクロロフィルが分解されれば発現するのでイチョウの色づきにはばらつきがないのだそうです。

イチョウの「黄葉」の仕組みをご紹介しました。次回から「まめだ」の噺の内容をご紹介していきます。