今回は花菖蒲をより深く鑑賞するために、違いを区別する見分け方を紹介したいと思います。三英とか平咲き、脈入りなどの専門用語
花被の数
花びらと考えるとわかりやすいですが、厳密には異なります
菖蒲の花は大きく外側に開いた花弁(外花被)が目立ちますが、それと別に、鉾などと呼ばれる内花被(内側の小さな弁)があることがわかります。
通常、外花被も内花被も3枚ずつなのですが、野生の菖蒲をはじめとして、江戸古花は外花被部分が大きく、内花被が小さいため、花びらが3枚のように見えます。花菖蒲ではこの花びらのように見える部分を「英」というため、上の写真の花は「三英」の菖蒲ということになります。
品種改良する中で、外花被と同じくらいの大きさに内花被が発達するものが生まれてきます。そうなると、花びらが6枚あるように見えるので「六英」の菖蒲です。
ちなみに菖翁の最高傑作「宇宙」は前回ご紹介した写真を見ると「六英」に近いようですが、図鑑では「多弁」となっています。内花被だけでなく、おしべなども弁化して、花びらが9枚程度までなり、重なって咲くものを「多弁」というそうです。当時はおそらく常識でははかり知れない花の形だったのかも。
本日はもっとも区別のつけやすい「英数」(理系教科みたいですが)についてお話ししました。次回は花びらの模様などについて説明しましょう。