おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

参りゃんせ~行きは良い酔い、帰りはWHY?4

「通りゃんせ」の発祥の地とされている場所には、この三芳野神社の他に、神奈川県小田原市国府津の「管原神社」、同じく小田原市南町の「山角天神社」があるようです。

この二つの神社は、いずれも箱根の関所でのチェックを「帰りはこわい」と唄っている、という説もあれば、箱根の坂を越えてお参りするために、行きはまだお参りする遊山の楽しみで良いが、帰りは「足が疲れてこわばる」の意味の「こわい」、の意味だという説もあります。(小田原のあたりでは「疲れた」の意味で「こわい」を使うのだとか。ちなみに関西では「えらい」といいますが・・)

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三芳野神社 拝殿 当時は城内にあったのでしょう

「疲れる」説だと、謎感(というのがいいのか)が薄れて、味わいがなくなってしまうような気がします。

また、「通りゃんせ」をYouTubeで検索すると、1939年録音という「通りゃんせ」のレコード録音バージョンを聴くことができます。服部良一さんの編曲で、元曲からするとずいぶん明るく、モダン(当時の感覚で)な曲調です。二番・三番の歌詞もあり、作詞は久保田宵二(くぼた しょうじ)さんという方で、調べると、「山寺の和尚さん」の作詞もこの方でした。

気になる二番・三番の歌詞はというと

通りゃんせ 通りゃんせ

これは誰のいたづらじゃ 村の若衆のいたづらじゃ

ちょっと通してくだしゃんせ 行く先言わなきゃ通しゃせぬ

七夜寝たならお嫁入り  半襟買いに参ります

行きはよいよい (以下同文)

通りゃんせ 通りゃんせ

ここはどこのお関所じゃ 安宅の関のお調べじゃ

ちょっと通してくだしゃんせ 証拠のないもの通しゃせぬ

山伏姿で勧進帳 読んでお聞かせ申します

行きはよいよい (以下同文)

というもので、一番と異なって、二番はお嫁に行く女性と村の若衆(男たち)の掛け合い、三番は歌舞伎の「勧進帳」の舞台となった安宅の関(石川県)で、義経・弁慶の一行と関守のやり取りを模した歌詞となっています。曲調に合わせたコミカルな感じの歌詞になっています。

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三芳野神社の参道 天神さまに向かう細道

参拝した日は訪れる参拝客もまばらでしたので、オリジナルの一番の歌詞を思わせる、ひっそりとした境内でした。小江戸といわれる川越には、隣の本丸御殿や徳川家とゆかりの深い名刹喜多院」など、他にも見どころがありますが、そのあたりは別の機会に。

次回は場所を都内に戻し、小石川の「牛天神」をご紹介します。