「王子の狐火」の話でも、王子は田園地帯で、狐が多く棲んでいたことがわかります。狐は人に化けて人をだますといわれます。昔話にも、支払われたお代のお札が木の葉だった、というのがよく出てきます。王子に棲む狐も人をだますことで知られていました。「王子の狐」はそれを逆手に取った落語です。
王子稲荷に参詣した帰り、狐が若い娘に化けるのを見た男、化かされたふりをして、逆に知り合いの振りをして声を掛けます。料理屋「扇屋」に二人で入り、散々飲み食いして寝込んだ娘を置いたまま、男は帰ってしまい・・
この後は是非YouTubeなどでどうぞ。
さて、王子駅の西側、王子神社の南に音無川が流れていて、道路から階段を下りて川べりに降りられるようになっています。
春は桜、今の季節からは青楓、秋は紅葉が楽しめるスポットです。
河沿いを西へと進むと、さくら緑地、もみじ緑地と続き、東京とは思えない風景を楽しむことができます。王子には他にも「名主の滝公園」など、自然を楽しむ場所があって癒されます。
音無川は王子の周辺だけの名前。石神井川と名前を変えます。豊島氏は王子周辺から石神井川を遡るようにして勢力を増していき、石神井川の主水源となっていた「三宝寺池」のほとりに本拠地を移しました。これを石神井城といいます。
「大事の前の城址4」で触れた「長尾景春の乱」で当時の当主泰経は景春側につき、両上杉氏と太田道灌の敵側となり戦うこととなるのですが、その話は次回に。