システムが地震の発生を検地したことから、リフトアップ作業自体は一時的に中断されましたが、ゲイン塔は塔体の最上部に設置された転倒防止ジャッキだけで押さえられている状態です。もちろん大型地震を想定し備えはされています。しかし、他のインフラでも、天災が発生したときに「想定外だった」との弁明を聞かされることがあります。
東京タワーのアンテナが曲がったこともあり、スカイツリーでも損傷を受けていないか点検が行われ、三月十四日には「作業員全員の無事と塔構造体への被害がなかったことを確認した」ことが正式に発表されました。
また、スカイツリーは五重塔と同じ原理の、「心柱による制震システム」が採用されていることは広く知られています。(厳密には五重塔の制震構造は解明されておらず、現代制振技術の応用だそうですが)
地震対策の方法としては、「耐震」「免震」「制震」の三つがあります。
耐震:文字通り、地震の揺れに耐える堅牢な構造⇒東京タワー
免震:建物と基礎との間に免震装置を設置し、地盤と切り離すことで建物に地震の揺れを直接伝えない構造⇒都内の文化財では、目黒祐天寺が免震構造を採用しています。
五重塔と同じ原理というのは、中心部分は空洞(内径10M)にして、第一展望台の上あたりから直径8m・地上375Mのコンクリート製の「心柱」をスリップフォーム工法というやり方で組み立てます。そして「ゲイン塔」のリフトアップ完了後、「心柱」を完成させるというもの。
この工法については、「大林組」のHPで解説されていました。
『「ゲイン塔」のリフトアップ完了後、「心柱」を完成』と書きましたが、震災のあった三月十一日はまだ「ゲイン塔」のリフトアップは完了しておらず、「心柱」も未完成であった、ということになります。