おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

彼岸 GOGO

ようこそのお運び厚く御礼申し上げます。
秋のお彼岸のあたり、東京でも川べりの土手やお寺の境内で見かけるのが赤い「彼岸花」。花の色もさることながら、花の形も特徴的です。

都内 中川北側の川べりの彼岸花

新美南吉の童話「ごん狐」、私の中ではなぜだか「彼岸花」の赤いイメージが重なっています。新美南吉童話集が手元にあったので、作中にどのように表現されているか調べてみました。
結果は案外なもので、「彼岸花」の表記は二箇所だけでした。それも兵十(ごん狐のいたずら?の相手)の母親の葬列の行きと帰りのところ、場面としてはワンシーンのみ。

①墓地には、ひがん花が、赤い布(きれ)のようにさきつづいていました。

②人々が通ったあとには、ひがん花が、ふみおられていました。

その他「赤」の表記があるところは、兵十の家の「赤い井戸」(初秋以外の季節でも使われるので、彼岸花とは関係なさそう)のいくつかだけでした。
ちなみに「ごん狐」は南吉が最初に投稿したオリジナルと、現在伝わるものと2つ(話としては同じで、表現などに若干手が加えられたもの)あり、双方見比べましたが、「彼岸花の使われた箇所は同じでした。(上記の抜粋は後者です)

冷静に考えてみれば、花の咲く時期が短いわけですから、短い童話の中で、秋のお彼岸の時期などはほんの一部で、何度も出てくるはずがありません。
ここまで引っ張っておいて、なぜ「ごん狐」に「彼岸花」のイメージを(勝手に)持つようになったかは不明のままです。おそらくですが、子供の頃に見た絵本か、アニメの印象が心に残っているのかも知れません。

群集して咲くので、赤い色が際立って印象的です(葛飾奥戸宝蔵院)

あるいは、お寺の境内に咲く彼岸花と、「ごん狐」のbad end のイメージが重なっているのかな、とも思います。加えて、子供心に残りやすい色彩のイメージは、パステルカラーより、原色系の鮮やかさなのだろうか、とも。

前置きが長くなってしまいましたが、この稿では、これからの時期見頃を迎える彼岸花についてご紹介していきたいと思います。