「諸白」(もろはく)について説明する前に、日本酒がどういう工程で発酵するかを説明していきます。日本酒は御存じの通り、米から作られますが、
①精米(せいまい):玄米から糠を取り除き白米にします。糠や白米でも表面に近い部分は雑味の原因となるので、それを取り除いてやるわけです。足で杵(きね)を踏み、唐臼(からうす)に入った玄米を搗く(つく)ことで精米を行います。
最初に「精米」の話が出てきたので、余談ながら日本酒のラベルに書かれている「精米歩号(せいまいぶあい)」についてご紹介します。「精米歩合」とは、玄米を100%として、外側から削り取って残った割合を示す数字です。精米歩合65%だと、35%が削り取られて65%の部分が残った状態となります。
上でご紹介したように、江戸時代初期は足で杵を踏んで米を搗く方式(足踏み精米)でした。この方式では、その精米歩合は90%ほどだったといわれます。江戸時代後期には水車を使うようになり(水車方式)、精米歩合は80%程度までになりましたが、いずれにせよ今よりだいぶ精米歩合は低い(削り取る部分が少ない)ことがわかります。
周辺部分にはタンパク質などが残ることから、雑味になるものの、削り過ぎるとそれはそれで旨味が少ない酒になってしまうので、そのバランスが酒造りには重要な要素であると言えます。
続いて
②洗米(せんまい):精米した米と水を踏桶(ふみおけ)に入れ、足で踏み洗いします。その後洗いせいろ(ザルのようなもの)にあけて水を切ります。踏み洗いと水切りを何度も繰り返して、漬桶(つけおけ)に水と米とを入れ吸水させます。
③蒸米(むしまい):上の写真に羽釜(はがま)がありますが、ご飯を炊くわけではなく、この釜でお湯を沸かします。釜の上に「甑(こしき)」という大型のせいろを据え付け、その中に②の米を入れて蒸します。
今回は米を蒸したところまで、続きは次回で。