おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

あっち池、そっち池、鴻池5

「諸白」(もろはく)について説明する前に、日本酒がどういう工程で発酵するかを説明していきます。日本酒は御存じの通り、米から作られますが、

①精米(せいまい):玄米から糠を取り除き白米にします。糠や白米でも表面に近い部分は雑味の原因となるので、それを取り除いてやるわけです。足で杵(きね)を踏み、唐臼(からうす)に入った玄米を搗く(つく)ことで精米を行います。

伊丹ミュージアムの展示

最初に「精米」の話が出てきたので、余談ながら日本酒のラベルに書かれている「精米歩号(せいまいぶあい)」についてご紹介します。「精米歩合」とは、玄米を100%として、外側から削り取って残った割合を示す数字です。精米歩合65%だと、35%が削り取られて65%の部分が残った状態となります。

上でご紹介したように、江戸時代初期は足で杵を踏んで米を搗く方式(足踏み精米)でした。この方式では、その精米歩合は90%ほどだったといわれます。江戸時代後期には水車を使うようになり(水車方式)、精米歩合は80%程度までになりましたが、いずれにせよ今よりだいぶ精米歩合は低い(削り取る部分が少ない)ことがわかります。

周辺部分にはタンパク質などが残ることから、雑味になるものの、削り過ぎるとそれはそれで旨味が少ない酒になってしまうので、そのバランスが酒造りには重要な要素であると言えます。

続いて

②洗米(せんまい):精米した米と水を踏桶(ふみおけ)に入れ、足で踏み洗いします。その後洗いせいろ(ザルのようなもの)にあけて水を切ります。踏み洗いと水切りを何度も繰り返して、漬桶(つけおけ)に水と米とを入れ吸水させます。

米洗いの図(日本山海名産図会:伊丹ミュージアム展示より)

洗い場の様子(伊丹ミュージアム

③蒸米(むしまい):上の写真に羽釜(はがま)がありますが、ご飯を炊くわけではなく、この釜でお湯を沸かします。釜の上に「甑(こしき)」という大型のせいろを据え付け、その中に②の米を入れて蒸します。

今回は米を蒸したところまで、続きは次回で。