おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

梅に惹かれて菅公に参り4

天神・天満宮には必ずといっていいほど牛の、それも横たわった姿の臥牛(がぎゅう)の像がありますが、これには菅原道真の生まれ年(承和十二年)が乙丑(きのとうし)であったという説もあります。また、以前に紹介したように大宰府の地で失意のうちに亡くなられた際に、「私の骸は人に引かせずに、牛の行くところに留めよ」と遺言され、牛車で遺体を運んだ際に途中で牛が動かなくなった地にお祀りした(大宰府天満宮の起源)話も残っています。

そのゆえに、牛は菅公(道真公)の使いとされ、動かずに横たわった=臥牛像が奉納されているということです。

谷保天満宮の牛の像が印象に残りましたのでご紹介します。参道、階段を降りて拝殿に向かう角に牛の石像があるのですが、他の神社の牛(谷保天満宮にもう一つある牛の像とも)とずいぶん違っています。

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谷保天満宮 印象に残った牛の像

像の下の基壇部分に説明が彫られています。臥牛像でなく、座牛の像だそうで昭和四十八年に奉納されたもののようです。

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基壇部分の説明 「座牛」の像

さらに調べてみると作者は、関 敏(せき びん)とおっしゃる国立市ご出身の彫刻家の作品だそうです。市内には、国立駅南口ロータリーの時計台や東京女子体育大学体育館のレリーフなど、作品がいくつも飾られているそうです。

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真正面から見た座牛像 目や鼻が表されています

抽象彫刻でありながら、ちゃんと牛であることがわかり、動かなくなった牛がそのまま石となって風化したようにも見え、写実的な臥牛の像より、動かなくなった牛のイメージがよく出ているように見えました。この牛像の先、拝殿の手前右側にはブロンズの臥牛(こちらは対照的に写実的な像です)と比べて鑑賞するのもまた一興かと。

谷保天満宮を含む関東三大天神のお話は以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。次回からは都内等の梅の名所をいくつかご紹介していきます。(これからが梅の見頃です)