おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

後悔、鷺に立たず3

鷺草伝説を調べていて、世田谷区の花が鷺草だというのを知りました。豊島区のソメイヨシノツツジといい、まつわるエピソードがあるのはいいですね。
九品仏浄真寺境内には鷺草園があり、8月の上旬に白い花が見られるようです。

鷺草はラン科の湿地性の多年草、一方の鷺は湖沼や湿地、水田などで見られる鳥です。

そこから考えると、世田谷周辺は低湿地であったことがうかがえます。
世田谷の地名も、瀬戸の谷が由来といわれています。瀬戸とは、元々狭い海峡を指す言葉ですが、後に狭い谷間もそのように呼ぶようになりました。谷間の更に谷、ということでしょうか。
何度か浄真寺を訪れていますが、何となくしっとりした感じがするのは、そのせいかもしれません。

さて、浄真寺は、本堂の真向かいに上品(じょうぼん)堂、その左右に下品(げぼん)堂と中品(ちゅうぼん)堂の三つのお堂にそれぞれ三体の阿弥陀如来を祀っています。

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上品堂 三体の阿弥陀如来がいらっしゃいます 中品堂・下品堂にも三体、併せて九品仏

印相の異なる九体の阿弥陀仏を祀るのは、おそらくこのお寺と、京都加茂の浄瑠璃寺にしか見られない様式です。

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京都浄瑠璃寺 横に長いお堂に九体の阿弥陀如来が祀られています

仏像好きだけでなく、本堂の周りの縁から座って庭園を落ち着いて見られるところもいいですね。

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本堂の縁側からゆっくりと

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本堂の内から上の写真と逆側の庭園も

このお寺には、「お面かぶり」として知られる行事があります。念仏を唱える行者の臨終に、極楽浄土から阿弥陀如来が二十五の菩薩を従えて上品堂から本堂に向かって練りあるく、というものです。三年に一回の行事で、昨年コロナ禍で今年5月にに延期されていたのですが、残念ながらコロナ禍が収束せず、中止が決まりました。

早く平穏な日々が戻り、こうした行事が行えるようになってほしいものです。

次回は世田谷城(豪徳寺)の周囲をご紹介します。