おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

逢い焚くて逢い焚くて3

「天和笑委集」(てんなしょういしゅう)は、この天和2年から翌年に頻発した火事に関する見聞をまとめたもので、それぞれの火災事故の現場で活躍した人物や、放火犯人の様子などを物語風にまとめた全十三巻の書物です。その十一から十三巻、つまり巻末の部分で記されているのがお七の話です。

その中で記されているのが、前回の圓乗寺の案内板の記述とほぼ同じです。ただ、その時お七の一家が避難した寺院は「正仙院」(現存していないようです)となっています。

避難した時の火事が近くの大円寺を火元とする「天和の大火」です。

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大円寺 圓乗寺からは北東方向200M足らずの場所にあります

「天和の大火」は別名「お七火事」とも呼ばれようになるのですが、お七一家はこの大火では被災者であり、名前を付けられるいわれはありません。お七が後の放火騒ぎを起こすきっかけとなったことから、その前の大火がお七が起こしたものと混同され、そう呼ばれるようになったように思われます。

大円寺にもお七にまつわる「ほうろく地蔵」があります。

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大円寺 ほうろく地蔵 周囲にたくさんのほうろくが積まれています

「ほうろく」とは素焼きで作られた平たい土鍋を指すのですが、写真で見られるように、ぱっと見はお皿のようです。豆やお茶(焙じ茶)を炒る(あるいは蒸す)のに使います。

「ほうろく地蔵」上の写真ではお姿がよくわかりませんが、名前の由来とお姿は次回でご紹介します。