おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

逢い焚くて逢い焚くて7

実は、二人が結ばれた雷雨の夜の翌朝、お七は吉三郎と一緒にいるところを母親に見つかり引き立てられていったのでした。現代と異なり、女性は貞淑さが求められた時代ですから、母親はさぞかし驚いたことでしょう。本郷の実家に帰っても母親の監視の目が厳しく、それがお七を情緒不安定にさせたのかもしれません。

ある雪の日、吉三郎は松露・土筆売りに変装して八百屋を訪ね、夜になり雪で帰れなくなったと一夜の宿を借りることに成功します。ちょうど親戚に子供が誕生したとの知らせで両親が出かけました。土筆売りが吉三郎だお七もと気づき、部屋にあげ、会えなかった時を取り戻そうとしますが、そこに両親が戻ってきてしまいます。

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井原西鶴墓所のある大阪の誓願寺

語り合って夜を過ごそうとした二人は声も立てられず、硯紙、つまりは筆談で語り明かし、翌朝吉三郎は出立し、お七はまた吉三郎に逢えない辛い日々を過ごすのでした。

思いつめたお七は、「家が火事になればまた吉三郎がいる寺にいける」と思い、ついに自宅に火付けをしてしまいます。近所の人たちが少し煙が立ち上ったところを見つけ、すぐに火を消し止めますが、その場所にお七の姿がありました。人々が問いただしたところ、お七は火をつけたことを正直に話してしまいます。

「小柄な鼠が金盗って誅」でも江戸時代の罪科と刑罰について触れましたが、江戸時代、放火は重罪であり、その罪を犯した人物は火刑、すなわち火あぶりとなります。

次回、ついにお七は火刑に処せられるのですが、続きは次回で。