おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

他抜きつ抜かれつ5

舞台は千葉県木更津市に移ります。「證誠寺の狸囃子」の舞台「證誠寺」です。木更津市内にある唯一の浄土真宗のお寺だそうで、開かれたのは17世紀中期といいますから、徳川家光が将軍の時代あたりでしょうか。

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証(證)誠寺 本堂

證誠寺の狸囃子」の伝説は、明治38年(1905)に地元の文芸誌で紹介されたもので、比較的新しく、決して世の中によく知られた話ではありませんでした。

お寺が開かれた当時、この辺りは竹藪が生い茂って、昼間でも薄暗い、薄気味の悪い場所で、夜になると一つ目小僧やろくろ首などの妖怪が出るといわれていました。

證誠寺に新たにやってきた住職も、それら妖怪に出くわしますが、平然として驚く様子がありません。

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証(證)誠寺 入口の看板?

これらの妖怪たちの正体は、寺の周りの森や竹やぶに棲む狸たちでした。これまであたりを歩く人たちを驚かせるのを楽しんでいたのですが、住職が全く驚かないので狸たちは気に入りません。何とか住職を驚かせる方法はないだろうか、と考えた末、あることを思いつきます。

ある夜、寺の外から騒々しい物音がするので住職は目を覚まし、庭に出てみたところ、狸が大勢集まってお囃子に合わせて踊っています。最初は驚いた住職でしたが、そのうちに自分も自慢の三味線まで持って、お囃子に合わせて踊り出します。いきなりの飛び入りに負けまいと、狸たちもさらに調子づいてお囃子と踊りの競争は、ついに夜が明けるまで続きました。

翌日、また翌日も最初の日以上に盛り上がって競争は続いたのですが・・

続きは次回に。