おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

梅麗しく情あり2

今回は大田区立「池上梅林」をご紹介します。この稿を書くために調べるまで、すぐ近くの日蓮宗名刹、「池上本門寺」の境内の一部にあるものと勘違いしていました。

実際のところは、大正・昭和期に活躍された日本画家・版画家の、伊藤深水(いとう 深水 1898-1972)の自宅兼アトリエで、「月白山荘」と呼ばれていた庭園でした。(女優の故・朝丘雪路さんはこの方の娘にあたるそうです)

戦災でこの地が喪失した後、築地の料亭経営者が南半分を拡張、自身の別邸としておられたそうです。その経営者の没後、ご遺族の意思により、庭園として残すことを条件に東京都に譲渡され、現在は大田区立の庭園として管理されています。(東京都の区立庭園はこうした経緯で庭園が残されているところが多いですね)

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梅林入口にある案内板 入場料は大人100円です

本門寺と隣接していますが、最寄り駅は都営浅草線の「西馬込」。本門寺最寄りの東急池上線の「池上」駅からは、お寺を越えていく分、遠くなっています。

さて、庭園は丘陵斜面を利用したものとなっているため、都内の梅林では珍しく、丘の上から梅林を見下ろしたり、逆に見上げたりと、角度を変えて花を楽しむことができるのが特徴です。

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丘の上から梅林を見下ろす

昭和五十三年(1978)に大田区に管理が移管されて以降、区の花が梅であることから、植林を行い、現在では約370本、約50種類の梅の木が植えられています。他の梅林より、紅梅の割合が多いようなので調べてみたところ、370本の内訳は、白梅が150本、紅梅が220本ということでした、

また、園内には茶室・日本庭園がありますが、これらも、別の個人のものであったものが区に寄贈され、この場所に移築・移設されたもののようです。

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茶室への入口と梅

丘陵、日本庭園や和室がアクセントを加えていて、変化のある風景が楽しめます。

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下から丘を見上げるとこんな感じです

池上梅林についてのご紹介は以上です。本来なら梅といえば「向島百花園」を外すことはできないところですが、小石川後楽園など都立庭園はコロナの関係で臨時休業中です。同じ墨田区内の「小村井香取神社」をご紹介しようと思います。