おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

華が菊3

「一文字菊(いちもんじぎく)」は、長く幅広い花びらが円形に平たく広がって咲きます。皇室の「菊のご紋章」に似ていることから、「ご紋章菊」の別名もあります。「細管」以上に花びらが重力に負けてしまうため、輪台が欠かせません。

皿のように支える輪台が必要になる「一文字菊」 市川葛飾八幡宮

花びらの数は16枚が理想とされるようですが、皇室の紋章が「十六弁八重表菊紋」であることから、そこに手本を置いているのでしょうか。

余談ですが、「一文字菊」を入れ替えると「菊一文字」となります。菊を愛した後鳥羽上皇が自身の創った刀に「菊」の名前をつけたことは先に述べました。上皇は全国から刀工を召し出されましたが、その筆頭が備前福岡一文字派の祖である則宗でした。新選組沖田総司の愛刀が「菊一文字則宗」であったと伝えられています。

余談はさておき、大きなものは直径30cmを超えるとのことですが、輪台のない状態で花びらはどのようになるのかは興味あるところです。

次に「仕立て」についてご紹介します。服を作る際に「仕立てる」といいますが、菊など花においても「仕立て」という言葉を使います。衣服で装うように、菊を整えて見せる手法をとるわけです。

大菊の最も一般的な仕立ては「三本仕立て」です。文字通り一本の苗から三本の枝(他の枝は摘んでしまいます)を伸ばし、三つの花を見せるものです。

「三本仕立て」で並べられた菊

三本の菊のうち、手前の二本は同じ高さに揃え、奥の一本は花の三分の二程度を高くして手前の二本の間に配置します。高さだけでなく、三つの花は同じ大きさに揃えるとともに、茎・葉を含めた全体が調和を保つように育てます。「盆養仕立て」とも呼ばれ、大菊の品評会で最もよく見られる仕立て方です。

次回はその他の「仕立て」についてご紹介していきます。