代官屋敷から南西方向に6-7分歩いたところに「実相院」の立派な塀が見えてきます。
実相院は、吉良氏朝またはその子である頼久が開基とされています。氏朝は、鷺草伝説のお殿さま、吉良頼康の養子にあたります。「吉良星の如く3」で、世田谷城を放棄した武州吉良氏が、近くに隠棲したと書きましたが、時間的に誤りがありました。放棄したのち、一時的に下総国、現在に千葉市のあたりに逃れました。徳川氏が江戸に入った後、氏朝が隠棲したのがこの実相院辺りということです。
約10年前に完成した多宝塔をはじめ、建物としてそれほど古そうなものは無いのですが、境内のいたるところに置かれた石塔・石像などなどが、樹木と相まって独特の雰囲気を出しています。
一度春に訪れただけですが、たぶん秋の紅葉の時期は、「知られざる穴場」なのではないかと思います。
この実相院は、次回ご紹介する勝光院の末寺で、明治初期には合併して廃寺になる寸前だったのを、当時の住職や檀家の努力でもちこたえ、これだけの立派な境内のあるお寺となったそうです。
次回は、この実相院の本山?にあたる勝光院をご紹介します。