ご成婚当日のテレビ番組は、六時過ぎにの「正田美智子さん出発風景」の中継を行っています。（当時、早朝にテレビ放送はなく、NHKは六時から放送開始でした）
つまり、この日のテレビ放送は、ご実家から皇居へ向かわれるところから、朝一番からこの放送一色でした。
出発された「正田邸」は、五反田駅の北に五分ほど歩いた場所にあり、現在は「ねむの木の庭」として品川区立の公園となり、公開されています。（夜間は門が閉まっています）
美智子妃のご尊父にあたる正田英三郎氏が平成十一年（1999）に逝去され、その二年後に、相続税の一部として正田邸は物納されました。邸宅の保存要望など、住民団体の働きかけはありましたが、結局平成十四年（2002）年に邸宅は解体されてしまいます。邸宅跡地が品川区によって公園として整備・公開されているわけです。
名前の通り、門を入るとねむの木が一本植えられていて、周囲の花壇にはバラなどの草花が植えられています。塀の一部がガラス張りで、門が開いていない時間帯でも、面した道路から中の様子を見ることができます。
新婦である美智子さまはこの場所を出発し、宮中において結婚の儀が執り行われたのですが、賢所の儀に史上初めてテレビカメラの持ち込みが認められ、国民の関心は大きく高まりました。当日のメインイベントは賢所の儀のあと、午後二時半から三時二十分までの50分間のパレードでした。これは皇居から、渋谷区常盤松にあった東宮御所までの8.8キロメートルを四頭立ての馬車で走るというもので、沿道には五十三万人にも上る群衆が詰めかけたといいます。更にそのテレビによる実況中継の視聴者は、1500万人以上といわれます。
この全国への放送に、前年の東京タワー完成が大きく貢献していたことはいうまでもありません。
