東芝未来科学館に展示されたカラーテレビの上に、カラー放送当日の新聞のテレビ欄のコピーも展示されていました。
KRテレビは現在のTBSテレビ、日本教育テレビはテレビ朝日にあたりますが、カラー放送はピンク色のアンダーラインの部分だけで、それ以外は従来の白黒放送です。対応しているのは、古参のチャンネルだけで、しかも、一日のうち、二三時間くらいであったことがわかります。
また、欄の中で「オリンピック」とあるのは、この年の八月二十五日から開催されていた「ローマオリンピック」を指します。「ローマオリンピック」といえば、1908年の大会の開催地に決まっていたにもかかわらず、財政的な理由で大会を返上、さらには1940年（昭和十五年）にも大会の開催地として名乗り出ていたものの、東京（最終的に返上・中止）に譲った過去がありました。
ローマオリンピックの閉会式が行われたのが九月十一日、次のオリンピックが開催されるのは「東京」。東京はローマとの開催地争いに昭和三十年（1955）敗れていましたが、再度オリンピックの開催地に立候補し、昭和三十四年（1959）のミュンヘンでのIOC総会において、デトロイト・ウィーン・ブリュッセルの三都市を破り、昭和三十九年（1964）第十八回オリンピック開催地に決定していました。
このときの招致や開催にあたっては、大河ドラマ「いだてん」で取り上げられています。東京オリンピックは日本におけるテレビの普及、特にカラーテレビの普及を大いに後押しすることになりました。
